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@kyanny's blog

Write down what I learnt. Opinions are my own.

Emacs 実践入門を読んだ

Emacs 実践入門」を読み終わった。技術評論社の池田様より献本をいただきました。ありがとうございました。楽しく読めました。

この本は実に実践的だ。著者は Emacs を使い始めて四年ほどらしい。その倍ほど Emacs を使ってきたぼくだが、本書を読んでいて初めて知った機能や、知ってはいたが試したことがなかった機能、少し試したがうまく使いこなせなかった機能が 20 個近くあった。 Emacs 歴 10 年選手のひとでもきっと新たな発見があると思う。特に、 Emacs 本体に同梱の機能を多く紹介しているのが良い。 Emacs は自由に拡張可能なエディタとはいえ、場当たり的に拡張機能を入れすぎても使いこなせなくなってしまう。その反面、本体に同梱の機能はつい見過ごしてしまいがちだ。 Emacs は広大なので、そもそも機能の存在すら知らないまま使っていることも少なくない。本書を読んで Emacs 自身が元々備えているポテンシャルに改めて気付かされた。

そしてこの本は良い入門書でもある。個人的な意見だが、入門書に求められるのは「学び方を教えること」だと思う。便利な機能を羅列するのもいいが、それはある程度経験を積んだ中級者により多くの選択肢を与えるためのものであるべきで、初めて触れる人には、彼らがこれから一人で情報を得ていく術こそを伝えるのが大事だ。どんなに分厚い本でも、一冊で全てを伝えることはできない。ましてや Emacs の本など、分厚すぎて製本できなくなるに違いない。本書は基本的な操作方法やヘルプの使い方といった基本的な事柄のみならず、モードラインに表示される記号の意味やキーバインドの表記の意味など、検索エンジンでは調べづらい事柄にも丁寧にページを割いている。 Emacs に不慣れな人でも、置いてきぼりにされることなく学習していけると思う。

著者の id:tomoya さんは自身のブログで精力的に Emacs に関する記事を公開してきた。初心者にもわかりやすく丁寧な記事から、熟練者も唸るマニアックな記事まで、 Emacs に関する幅広いトピックを扱っている。彼のブログを読んだことがある方なら同意してもらえると思うが、親しみやすい文章で、たとえ Emacs とは関係のない話題であっても読み手を楽しませてくれる。その彼が Emacs に関する本を書いていると聞いたとき、是非読みたい、期待していると素直な気持ちを伝えたことがある。その時感じた期待感をそのままに、読んで楽しく役に立つ一冊だと思う。