@kyanny's blog

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Contents is king

学習サービスのソフトウェア開発に二年半ほど携わってきて、「主役は教材コンテンツである」ということが、ペンキを重ね塗りするように最初はうっすらと、徐々にくっきりと、心の底から納得するというレベルで「理解」できてきた。自分が作っているソフトウェアはコンテンツを利用するためのツールに過ぎない、ということだ。

ツールがヘボいせいで教材が利用しづらくなり、結果的に教材そしてサービスの価値を毀損してしまうことは十分ありうる。しかし、ツールがどれほど素晴らしくても、教材コンテンツがヘボかったら価値はゼロだ。ダメな教材で勉強したいとは思うひとは誰もいない。ツールたるソフトウェアは価値を殺さず・より引き出すための引き立て役なのだ。

その前提に立ってようやく、あの「UI・UX」というやつが、限定的ながら理解できた。主題が明らかになって初めて、引き立て役が「何を」引き立てるのか、という議論が成り立つ。価値あるコンテンツが利用しやすいユーザーインターフェース、コンテンツの価値を毀損しないユーザーエクスペリエンス。これなら合点がいく。

主題なきまま引き立て役を論じるのは意味がない。「何の」インターフェースなのか、「何への」エクスペリエンスなのか、をぼかしたまま一般論を語る「UI・UX論」のようなものは、詭弁といっていいだろう。

「UI・UX」について考えるときは、「主題は何か?」と自らに問いかけよう。それに答えられないうちは、引き立て役のことは一旦脇においておこう。それよりもっと重要な、最も重要なことをやらなければいけないということが、いままさにわかったのだから。