@kyanny's blog

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RubyKaigi 2016

RubyKaigi 2016 に参加した。都合により土曜日の午前中までの参加、また二日目のお昼前後も用事があり抜けたので、聴きたかったけど聴けなかったトークもいくつかあった。

年を追うごとに、 Ruby コミュニティは成熟してきているなと感じる。つまるところ、コミュニティに参加している人たちが成熟してきているということなのだろう。 mrkn さんが SciRuby とその(まだ比較的小規模な)コミュニティを持続可能な形で発展させていくための展望を述べた話と、まつもとさんや akr さんら Ruby コミッターが「互換性を損ねてでも、言語を『正しい、あるべき姿』に変えていくことを厭わない」という話と、 tagomoris さんによる Fluentd コミュニティがユーザーの利便性に最大限配慮する(その代わり開発者に多大な負担がかかることも厭わない)という話の間にコントラストを感じ、印象的だった。 Ruby も Fluentd も、どちらのコミュニティもそれぞれある種の完成形の一つなのだろう。まだ若いコミュニティがそういう先人たちの背中を見て進むべき方向性を得ていく、現在から未来への繋がり、みたいなことを感じた。

#rubykaigi

質問を二つした。

Q: 非常に複雑なクラス・モジュールの相関だが、あれを考えるとき図を描いたのか?全て脳内?ツールなどは利用したか?
A: 最初はいけるだろうと思ったが実装していくうちにうまくいかず、図をたくさん描いた。ブギーボードを使った。

Q: Treasure Data 社の開発者が仕事で開発もしているのだから、古いプラグインを全て書き直してしまおうとは思わなかったのか?
A: Fluentd v0.11 という構想が以前あり、そのときはプラグイン数も少なく開発者も知人ばかりだったので全部書き直しちゃおうか、という話はしていた。だが時間が過ぎてプラグイン数が数百を超え、書き直しは難しくなった。また Fluentd は Ruby コミュニティとは異なる場所でユーザーが増え、インフラをみるエンジニアたちは後方互換性が失われることに対してシビアなので、 v0.14 では既存のプラグインを壊さず動くことをまず目標に置いた。

聴いたトークの中で個人的なベストトークを挙げるなら、 tagomoris さんのトークが一番良かった。いかにも Ruby らしい黒魔術を駆使したテクニカルな内容で聴いていて面白かったのと、最後に「ソフトウェア開発者として、どういう『想い』でソフトウェアを作り、ユーザーに届けるのか」という思想を述べていて、強い情熱を感じた。次点は tkawa さんの Web Client のトークで、いつもながらの緻密な研究と丁寧な仕事、そしてきちんと実装に落としこむアウトプット力まで含めて、脱帽するばかりだ。

あと、オフィシャルアプリが非常に便利だった。