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@kyanny's blog

Write down what I learnt. Opinions are my own.

その「エンジニア採用」が不幸を生む ~良い人材を見つけ、活躍してもらうには何が必要か? - Kindle

Book

仕事でエンジニア採用に関わっているので、挑発的な書名に煽られて読んでみた。

得るものは少なかった。ほとんど当たり前のことしか書いてなかった。一部、身につまされるところもあったが、総じて読む必要なし。

全体通して、著者の主張には一定の正しさがあると認められるものの、文章からにじみ出る「雰囲気」が嫌な感じだった。

採用者の立場
  • 求人は広告出稿と思え。採用はマーケティングと思え。
  • 人事部門の仕事は人事制度・人材育成・新卒採用・中途採用の順なので、そもそも中途採用は人事の業務の中ではマイナーで、従って経験値が少ない。
  • 人事は採用人数を KPI に置いたりしがちなので、採用 0 人だと人事が無能だと評価されるのをおそれてイマイチな人材でも雇おうとする。
  • 現場は目先の開発を乗り越えることしか考えずにエンジニアの採用を決めてしまう。会社や採用されるエンジニアの将来のことを考えない。

求人広告も広告である以上、 「どのようなターゲットか?」 「そのターゲットはどこにいるのか?」 「何を決め手に応募してくれるのか?」ということを突き詰めて考える

もうおわかりでしょう。応募者集めは、「転職する意向のあるエンジニアを集客する業務」なのです。営業・マーケティングに近い業務といっていいでしょう

良い採用担当者の条件として、次のことが挙げられます。 ●自社の技術力や開発力を正しく理解して、応募者の実力を正しく評価できること ●エンジニアの特性や志向性と適性を理解し、求職者とコミュニケーションできること ●エンジニアに必要なキャリアパスを理解していること ●人事制度や採用のルールを正しく理解していること ●人事採用担当者として、公平でわかりやすい対人能力があるこ

グループ2のエンジニアの採用で最も注意しなければならないのは、「そのエンジニアがどのようなキャリアプランを持っているのか?」です

グループ3のエンジニアの採用で注意しなければならないのは、前職でのインターネット・ITサービスの開発の成功の理由を本人が理解していないケースがある、つまり自己分析ができないエンジニアがかなりいるということです

CTOは、次のようなことを真摯に説明するのが重要です。 「技術開発のポリシーや開発現場のカルチャーはどのようなものか」 「どのような技術、どのような開発手法で、開発・運用をおこなっているのか」 「エンジニアのキャリアに関して、どのようなビジョンと制度があるか」 「どのような考えで、開発部門をマネジメントしているか

Twitterで他者を罵倒するCTOならば、「社内でもそのようなマネジメントスタイルではないか? だとすれば、彼の罵倒に合理性はあるのか?」といった感じです。

SNSでエンジニアとつながりを持っていく場合、低スキルで暇なエンジニアを採用に関与させてはいけません

エンジニアの立場
  • 日本の中小企業の人事制度はエンジニアのキャリアパスと合ってない。
  • 就職と就社の違いを意識せよ。会社勤めしてたら口で何を言おうが就社。「手に職」はフリーランスの道。
  • 生涯賃金は転職回数が0か1回が最も多い。なぜなら日本のほとんどの会社の人事制度は年功序列が色濃くて、長く勤めないと出世できず、昇給しないから。
  • 技術力が高いと会社に定着して長く活躍できるので、結果として生涯賃金も高くなる。
  • 銀行員や営業・販売など多くの仕事は給料と安定で選ぶもの。エンジニアのようにやりがいにこだわって仕事を選ぶほうが特殊。
  • 人材紹介会社に紹介すればライバルは技術の知識レベル低いし仕事も楽で簡単にできそう、と考えるエンジニアもいるが、甘い。シビアな営業職。
  • エンジニアから他の職種(経営企画)へのキャリアチェンジは経営管理部門から見るとナンセンス。未経験の職種に簡単にはかわれない。
  • エンジニアはキャリアプランの検討が不十分。評価(報酬)に不満があって転職するのに「働きやすさ」で転職先を決めるなど、ちぐはぐ。

「私は大企業での開発経験があるので、中小企業での開発などかんたんにできる。大企業での経験を活かして、中小企業で活躍しよう」 そう考えるエンジニアは、要注意です。大企業と中小企業では、そもそも企業としての行動様式がまったく異なるからです

社内・業界をリードする人材5・6万

日本のエンジニアは、技術力のプライドが人格を侵食するまでになっている

エンジニアは、自分の技術をはじめとする能力と、目標、そしてキャリアパスと真剣に向き合う必要があります。「開発のことだけを考えて努力すれば道は開ける」という、20世紀の日本企業が持っていた就業観にとらわれてはいけませ

悪い意味で印象に残ったフレーズ

〇〇さんのキャリアラダーは美しく充実したものになりますね

「Q社のエンジニアって、どんな感じの方が多いんですか? 無骨で真面目ひと筋な印象があるんですけど」 そう質問すると、女性のキャリアコンサルタントは答えました。 「ご家庭で奥様に大切にされている方はほとんどいらっしゃらないと思います。やさしさとか愛情に飢えていらっしゃるような感じです」 これは、彼女の事実上の勝利宣言でした

●開発エンジニアの開発時の思いを手紙にして、納品先へ写真つきで添付す

あと、小説仕立てで軍事・防衛系ソフトウェアの開発者を引き抜く、というエピソードが、「ライバル会社の優秀なエンジニアを、社内で同じ仕事をしている美人女性エンジニアに色仕掛けで落としてこいと命ずる」という内容で、読んでいて非常に胸糞悪かった。

追記: ソフトウェアエンジニアの採用について知りたければ、「ソフトウェア開発者採用ガイド」を読むとよい。この本は全編に渡って素晴らしい。電子書籍版が無いのが惜しまれる。

ソフトウェア開発者採用ガイド

ソフトウェア開発者採用ガイド