@kyanny's blog

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禁煙ファシズムなんて一部の喫煙者が立場を守るために用意した造語に過ぎないよね

http://d.hatena.ne.jp/azakeri/20050926/p2

興味深く読んだ。

この人は自分が肺がんで死にかけて、肺がんで悲惨な死に方をした人を何人も目の当たりにして、たばこの怖さを身にしみて感じて「恐ろしい、こんな目にあうのがわかってたらたばこなんて吸わなかった、あんなふうに死ぬのはまっぴらだ、俺と同じ思いを俺の友達にはさせたくない」と気づいて、こういうことを書いたんだなあ。当然のことだと思う。

これに対して「喫煙と肺がんの因果関係は」とかいうひとは、今まで「死ぬかも」という恐怖を味わったことが一度もない、幸運な人生を送ってきた人なんだと思う。俺は身内に肺がんで悲惨な死に方をした人は(いまんとこ)いないし、自分自身も血を吐いたりする前にたばこはやめたから、たばこで「死ぬかも」という思いはしてないが、これがたばこと肺がんじゃなくて例えばマーガリン*1とクローン病だったとしたら、「こんなことになるならマーガリンなんて食べなかった」と本気で後悔しただろうし、友達や恋人*2には「クローン病になるからマーガリンは食べるな」と迫っているだろう。

それに、俺がたばこをやめたのだって「死ぬかも」と思ったからだ。クローン病と診断されて三ヶ月入院して最悪だった体調がずいぶん回復して大学も辞めて地元に帰ってきて肉体的にも精神的にもずいぶん健康になって油断して、退院して一ヶ月とたたないうちにまた吸い始めてその一年半後に自宅で大出血してぶっ倒れて救急車で病院に担ぎ込まれて即入院して、止血剤が効かなくて出血が止まらなくて赤血球濃度が6程度まで低下*3して主治医に「このままだと血が足りなくなって死ぬから輸血するよ」と言われてベッドから起き上がるどころか首を起こすこともできないくらい衰弱して、「ああ俺ほんと死んじゃうかもしれないな」と思って、でもなんとか無事に退院できて、因果関係がはっきりしてなくても、たばこはクローン病に良くないと医者が言ってるのだからもう吸うのはやめよう、と思って自然に吸わなくなったんだ。

俺がぶったおれたときの苦しさなんて、たぶん肺がん末期の人に比べたら全然軽いもんだと思う。けど、俺は俺で「死ぬかも」と思ってすげー怖かったし、怖い思いをしたからこそやめられなかったたばこをやめたし、まずくて最初の退院後は全然飲まなくなってたまずい薬もなんとかかんとか飲み続けてる。「嫌煙者の禁煙ファシズムはひどい」と叫ぶ人たちも、自分や身内がたばこ環境下にいて肺がんになってゼーゼー苦しみながら死にそうになっていくのを体験したら、「これは了解済みのリスクだから」なんていってる余裕はなくなると思う。

嫌煙者の中にも、声高にあらゆる喫煙者を責め立てるような人もいて、そういう人のやり方はファシズムだといってもいいかもしれないが、自分の周りの幾人かに対して口やかましく「たばこをやめろ」という程度ならば、ファシズムとはいえないんじゃないかなあ。どこの誰ともわからない人の喫煙にも肺がんにも特に意見はしないけど身近なところだけはほっとけない、という話なのだから。



追記

禁煙ファシズムとかそういう話とは全然関係ないんだけど、「禁煙」という言葉でとらえているうちは縁を切れないと思う。「本当は吸いたいんだけどやむをえず禁じている」なんて状態が続くわけはない。それでやっていけるような意思の強い人ばかりじゃないはず、「やめた」人たちは。

*1:マーガリンやショートニングのような人工油脂の構成分子がクローン病の発症と因果関係があるかも、という研究結果があって、ドイツあたりじゃマーガリンは禁止食品に指定されてると聞いたことがあるので、「マーガリンを食べるとクローン病になる」という仮定のうえでこう書いている

*2:そんなもんいないけどな!HAHAHA!

*3:成人男性の平均値は14前後、貧血気味とされる妊婦でも8以上