@kyanny's blog

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パブーで電子書籍を買ってみた (2) ~ 「ザッポスの奇跡 The Zappos Miracles  アマゾンが屈したザッポスの新流通戦略とは」

iPhone 3G に iOS 4.1 を入れてみたら評判通り快適で、 iBooks も使えるようになったので、先日パブーで買ったうちの一冊「ザッポスの奇跡」を読んでみた。

http://p.booklog.jp/book/6912

以下、パブー本棚に書いたレビューを転載。

ザッポスという企業の「文化」という側面にスポットライトをあて、人「財」の大切さを説いた本。顧客を幸せにするサービスを提供するためには、会社の従業員も幸せでなければならない、という経営哲学を貫いたらこうなりました、という一種のサクセスストーリーといえます。

「コアバリュー」とか「ハピネス」とか、耳に心地よさそうなカタカナ語が多くて読んでるほうがちょっと赤面しちゃいそうな気恥ずかしさはありますが、採用活動においていかに合わない人をとらないかとか、文化になじめない人を徹底的に遠ざけ、居続けさせない仕組み作りなどはとても考えられていて、「強い組織」を作ることにザッポスの経営陣がいかに腐心してきたかが伺えます。 Joel Spolsky も「ソフトウェア開発者採用ガイド」で「ダメなやつを雇ってしまう間違いを犯すくらいならば、素晴らしい人を雇い損ねるほうがはるかにマシだ」と言っていましたね。

従業員の口から語られる「伝説的な」幸せエピソードは幸せにあふれ、ときに涙を誘います。現場のスタッフが多くの権限を委譲されていて仕事の大部分を自由裁量に任されているとか、専門的なスキルを極めていくことでキャリアアップしていく仕組みとか、経験があり文化に合っているよい人にいかに長く働いてもらうか、という点にも重点が置かれているなど、ザッポスの組織作りの方法論が惜しみなく紹介されています。

一番感心したのは、専門的なコールセンターのキャリアをもつ人材を多く獲得したいがために本社を丸ごとサンフランシスコからラスベガスへ移転してしまったというエピソード。ザッポスという企業の本質はユーザーサポートなのだから、コールセンター「部門」という考え方はしないし、ましてやコールセンタースタッフだけを本社と別の場所へ移動するなどできない、という決断は、そういうものこそ英断と呼ぶにふさわしいのではないかと思いました。もちろん、その是非は将来成功なり失敗なり結果が出た時点で判断されるわけですが、そういう視点でいうと「はてな」が京都に移転したのも将来英断だったと言われる日が来るのかもしれません(今はまだ結論を出すには時期尚早というものでしょうか)

iPhone 3G の iBooks で読みましたが、文字サイズも十分でデバイスのサイズを考えればかなり読みやすいレイアウトでした。ページ送りの回数が増えてしまってせわしないのはご愛敬。ビジネス書ですし、読むのがはやい人なら二三時間で読めてしまうボリュームでしょうから、電子書籍で安く買い求めるのはお財布にもカバンの重さにもやさしく、良い買い物だったなと思います。

http://booklog.jp/puboo/users/kyanny/book/6912

まぁ多少褒め気味なのは許して。ていうか一気に書いてしまいたくて勢いに任せて書いたらハチャメチャになった。

あと宣伝風味ついでにもう一言付け足すと、この本を知ったきっかけは先日クワガタを引退したペパボの佐藤健太郎社長が社内SNSで「ぜひ読んでみて」と社員に向けて紹介していたからなんだけど、それを踏まえてこの本読むとまた意味深というか、ザッポスのようなアットホームで家族的結束をよしとする文化に近いものをペパボは(というか少なくともケンタロさんは)意識しているのだろうし、おれは某社のギスギスした雰囲気で精神的にかなり参っていたのもあって「褒める」文化でお互い仲が良いペパボの雰囲気はとても心地よく感じているし、家族的な組織を目指すのならば歓迎したいと思っているから、トップがそういうビジョンを持っているということをこの本を通じて間接的なメッセージとしても受け取れる*1のは安心感があるし自分でこうやっていろいろ考えて納得する余地もあるので良かったなぁと思った。

*1:もっと直接的に、会議などの場で口頭でメッセージを伝えてもらえる機会も結構ある