@kyanny's blog

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CODE VERSION 2.0 211ページ

事実関係がおかしい気がする。

コードがオープンにされているプログラムやプロジェクトの場合、政府がベンダーを規制して意に沿う動作を強いることが難しくなる、という文脈で、一例として、1996年にフランス政府がネットスケープに対しSSL通信の内容を盗み見できるバックドアを作らせようとしたが、ネットスケープ(モジラプロジェクト)はオープンソースだから第三者がバックドアなしのSSL実装を作ることができるし、エンドユーザーはバックドアなしのほうを好むだろう(だから結局フランス政府ご所望のバージョンのソフトウェアは利用されず、政府の規制はうまくいかない)、という論が展開されているのだが。

Wikipedia によれば、ネットスケープ・コミュニケーターのソースコードが公開されたのは1998年とある。なので、1996年のフランス政府の一件があった時点ではネットスケープのブラウザのソースコードはクローズドなままで、第三者がネットスケープ・コミュニケーター用のバックドアなしSSL実装を作ることはできなかったはず。なのでここは事実誤認ではないかと思う。