@kyanny's blog

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最近思ったこと

ここ数ヶ月、十数年のソフトウェア開発者人生で初めて、悪名高いExcel方眼紙に書かれた仕様書というものに触れる機会を得たのだが、悪評の理由が身を持ってわかった。

  • 装飾過多。長過ぎるフローチャートや謎のテーブル風定義一覧の「見栄え」ばかりよくて肝心のデータの見方・読み方がわからない。
  • おそらく装飾にパワーを取られすぎているからだと思うが、仕様の説明に不足がある。フィールド文字列長が何バイトとか書いてあるが超過したとき何が起こるか明記されていない、など。
  • そのシステムが実現するビジネスにおける仕様について(仕様書なのに)触れられていない。ドキュメントの書き手が読み手に対して「機械のように指示に忠実に実装だけすればよい」と考えているのが見え透いている。
  • 実装例・サンプルコードの類に乏しい。コードを見ればすぐ理解できる類のことを無理にコード無しで伝達しようとするので情報の劣化が激しく、資料として不完全。

などなど。普段使い慣れないMicrosoft Excelに苦労してようやく仕様を読み込み、いざ実装し始めると次から次へと「仕様書に書いていないが不明のままだとプログラムを完成できない微妙な疑問」が湧いてきていちいち仕様策定者に質問しなければならない(そして仕様を書く人を仲介してコードを書く人同士の伝言ゲームが始まり、時間をかけて劣化した情報を交換するはめになる)

自分はそういう「いわゆるSIer」の世界をどうにかしようとか崇高な気持ちは一切持ちあわせておらず、かといって積極的に憎悪を燃やすほどの強い想いもなく、そういう風習が滅んでくれるならそれに越したことはないが、自分は必要最小限しか関わらずに済むようにうまいことやるし必要最小限は我慢もできるので、ぶっちゃけどうでもいいんだけど、ともかく長年「都市伝説では?」と思っていた疑問が一つ解決してすっきりしており、貴重な体験に感謝したい。