@kyanny's blog

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すずめの戸締まり

イオンシネマ 金沢フォーラスにて。アップグレードシートで観た。隣席や後席に気を使わずに済むので映画鑑賞に集中できた。ドリンクチケットなしでも +500 円には十分見合う。

できるだけ事前情報・知識を仕入れずに観た。動画配信サービスの冒頭無料配信など当然観てない。奥さんですら気を遣ってそういうのが連続再生で流れないようにしてくれた。それでも「君の名は。に次ぐ出来って評判らしいよ」と一言聞いてしまったが。

たしかに面白かった。幻想的な映像は美しく、ギャグシーンも(あからさまなギャグじゃないシーンでも)笑えて、最初から最後までほぼダレず飽きずに観られた。

ただ、「君の名は。」、「天気の子」に続いてというド直球なテーマで、新海誠の作家性はによってとてつもなく大きな影響を受けてしまったんだなあと思った。

「ほしのこえ」に始まって「君の名は。」以降の大作に共通して見られるように、「スケールの大きな出来事のさなかにある個人の大きな物語」を描くのが新海誠の作家性なのかなと理解しているが、おれはむしろ新海誠の真骨頂は「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」のように「スケールの小さな出来事の中にある個人の小さな物語」を描いたときの(切なさ|刹那さ)にあると思っていて、だからこそがなかった世界線の新海誠が作る作品を見たかったなと思う。

作中、「大事な仕事は人からは見えないほうがいいんだ*1」というセリフがあって、これが一番刺さった。こういう思想・価値観、いかにも日本人らしく、また古来より伝わるものという感じだが武士道とも違う気がするし、日本に特有のものだとも思わない。一言でいうと「謙虚さ」なのだろうか。与えられた役目をまっとうすることの大事さと、それに抗いたいエゴと。それが人間なのだと。

評価は星4にするか星5にするか迷ったが、まあ二度観てもいいと思えたし、小説を読んでみてもいいとも思えたくらいなので、十分星5に値するだろう。主題歌は物悲しくも美しくて良かったが、「君の名は。」で感じた音楽のちからと比べると、やはりあそこまでの感動には至らなかった。脚本も然り。

封切りから二週間以上経っていたので入場者プレゼントの新海誠本はもらえなかった。残念。パンフレットは買った。映画館でグッズは買ってないけど椅子の段ボールクラフトキットはちょっと欲しい。

*1:はっきり記憶してなくて「大事な仕事は目立たないほうがいいんだ」かなと覚えてたが検索してどうやら覚え違いと知った