@kyanny's blog

My life. Opinions are my own.

転職活動を本腰入れてやり始めたのはここ二、三週間くらいで、転職ドラフトや Findy などに登録してみてコンタクトが来た先週が第一波、先日のブログの反響でコンタクトが来た今週が第二波(おそらくピーク)、知人のつてで繋いでいただいた方に紹介いただく来週あたりが第三波(おそらく最後の波)、という感じで、四月上旬までに候補を出し尽くすというぼんやりしたイメージに対して一応はオンスケで進んでいる。

転職活動を始める前や始めたばかりの頃は、決める優先順位は 人 > ビジョン・ミッション > 事業(領域) > 金 で動かないだろうと思っていたが、思いもよらず選択肢が増えたからなのか、心の底ではそれらと別軸の「おれである理由」を求めていることに気づいた。

自分がそれをやる必然性。100人が100人とも「お前はそれをやるべき」と言うのであれば、きっとおれはそれをやるべきなんだろう、因果応報、ストレングス・ファインダーでいう運命思考のようなもの。そんな事柄と出会えることなんてめったにないと思うし、そんな偶然を求めて(それを意思決定の最大の拠り所として)動くのは危険だとも思うが、やはり「なぜおれはそれをやるのか」を、少なくともおれがおれ自身に対して説明可能でなければ、おれはそれをやるべきではない、そんな気がしてしまう。

通院

ロイケリン減量一ヶ月後の採血と診察。白血球数が増えていて普段は3,000台後半くらいなのが5,200くるいだった。体調はあまり変わりなく安定。採血データを印刷してもらうのを忘れたのでCRPがいくつだったかもわからない。また一月後にエンタイビオで行くので忘れずにもらわないと。

昨日のブログはありがたいことに結構な反響があって、おれももう人生折返し地点を過ぎてるかもしれないし、最後の三桁ブクマかもしれないのでご祝儀だと思って受け取っておくつもりなのだけど、若干カッコつけすぎたというか無意識に盛ってしまったのではという感じもしていて、少し申し訳無さを感じたりもしている。

社内外問わず色々な方々からお疲れ様でしたと言ってもらえて、自分の主観ではもちろん超疲れたのだけど、でもたかだか50名規模の組織のマネジメント、および組織長として経営の末席を汚す、という程度の役割は、客観的には大したことない仕事の部類に入るのではと思ったりもする。そのくらいの規模の組織、成長中のスタートアップでもざらにあるし、企業の数だけ組織長もいるわけなので、別段珍しくもない。そういう役割を難なくこなしている人たちや、桁違いの規模でそれをやってのけている人たちからすれば、「その程度で何を大げさな」という話だろう。

自分には「50人の壁」を乗り越えられる能力が無かった、というだけの話だともいえる。おれは大きな数が苦手なんだなとつくづく思う。4人のチームや10人のグループの中で、時と場合に応じてリーダーシップ・フォロワーシップを発揮するような動きは好きだし得意だとも思うが、20人とか50人の組織の課長とか部長のような立場というのは性に合わないと思うし、ついぞ慣れることはなかったと思う。ずっと居心地が悪かったし、ただただ孤独になっていってしまったように思う。そういう器ではなかったのかな、と思う。

しかし慣れなかったのは良いことでもあった。実際、二年も「部長の椅子」みたいなものに居座っていると、見える景色も見慣れてくるし、仕事の進め方のお作法みたいなものもわかってきて、作業的な部分はスムーズに進められるようになり、メンタル的なつらさもやはり多少は慣れてきてしまって、仕事全般が楽になっていくことを実感もしていた。が、それこそおれが恐れていた保身、ダークサイドに堕ちてしまうことであり、絶対に避けなければならないと思っていたので、慣れきってしまう前に身を引けたのは、自分で自分を褒めてやりたい。

一方で、孤独を感じてしまったのは完全に自分の力不足、落ち度だと思っていて、もっと「現場」の近くでいろいろやる取り組みを自ら企画したり実行したりできなかったものか・・・と思う。言い訳をすると、スクラム風開発で見積もりしてスプリントごとにベロシティはかって、みたいな開発スタイルで開発ロードマップ(計画)からの遅延・乖離に敏感で、というやり方が広がっていた状況下では、今日出した PR のレビュー指摘を修正する時間が何日後にとれるかわからない、みたいな時間配分でやりくりしなくてはならない立場だと計画の阻害要因になるのは目に見えていて、下手に手出しするとかえって邪魔なのでやらないようにしたのだけど、それならそれで趣味色・実験色の強いものを作ってみるとか、やはりやりようはあったのでは・・・という気はするのだが、できなかったのは事実だし、それも自分の能力がそこまでだったということなんだろうなと思う。

今日は dead code を消す仕事をリハビリという感じで恐る恐る少しだけやってみて、やはり自分の手を動かして目に見える diff をうむのは楽しい、小さくてもやりがいを感じられるなとしみじみ実感した。ピープルマネジメントや組織マネジメントも GitHub でカラフルな diff が見られたらもうちょっと手応えを感じられたのかもしれない。

VP of Engineering やめた

2018年4月から務めた Quipper Limited の Vice President of Engineering を、2020年3月末日付で退任*1した。

なぜやめるのか

一言でいうと、 VPoE として担っていたミッションを完遂したため。

二年前に VPoE 就任を打診されたとき、自分が所属していた開発組織の課題は明白だった。人が辞める。定着しない。人が増えない(むしろ減る)ので現場の負荷が上がる。ムードも悪くなる。お世辞にもおすすめできる職場とはいえなかった。

そこで、「二年で開発組織を立て直す」をミッションに掲げ、上司と約束した。

結果、二年間でエンジニア組織は 25 名から 54 名へと倍増。かつ、ミスマッチを防ぐ採用方針を徹底したことで離職者を低く抑えることに成功。開発組織を安定化させた。

2017年3月 2018年3月 2019年3月 2020年3月
エンジニアの人数 24 25 35 56
退職したエンジニアの人数(前年比) 9 6 3

採用人数の多さは自分の手柄ではない。採用活動に携わった多くの関係者、とりわけ採用担当人事と選考担当のエンジニアの多大な尽力のおかげである。だが、退職者数の少なさは、自分自身で「事業マッチ・カルチャーフィット」を重視する採用方針を打ち立て、最終面接で見極めも行ったことが一定の成果を挙げたと思っている。

これ以外にも、(CTO や海外担当 VPoE の補佐として) Quipper プラットフォームの未来構想を考え、実行していくなど、三つのミッションに取り組んできた。それらについても二年間で一定の道筋をつけることができたので、公約*2通り二年でやめることにした。

最後の大きな仕事は「自分がいない前提で、2020年度の開発組織体制をデザインすること」だった。「4月からは自分がいないこと」を伏せたまま人事や組織の話をするのは骨が折れたが、「自分をクビにする」という野望を達成できたので、報われたとは思う。

なお、三つのミッションは以下の通り。原文ママ。具体的な内容は明記されておらず、これらのテーマに対して何をすればよいか?を自分で考えるところからが仕事、という感じだった。

  • Hiring / Organization (Sapuri) - 70%
  • Future of platform - 15%
  • Tech roadmap - 15%

もちろん単独で取り組んだわけではなく、上司である CTO を筆頭に多くの人たちの協力あっての賜物である。特に CTO には毎週みっちりと壁打ち相手になってもらって、思考的にも精神的にも大きな助けになった。

綺麗な理由ばかりでもない。このブログの読者諸氏には改めていうまでもないことだが、エンジニア組織マネジメントに徹する仕事は自分にとって、とてもつらいことだった。身も心も削った、という表現も決して大げさではないと思う。実際、奇病に罹って入院もしたし、精神的に沈むことも多かった。興味がある人は無題の記事731を含む記事を拾い読みすると良い(が、おすすめはしない)。

これからどうするのか

転職する(予定)。職務経歴書

Quipper に残るべきか迷ったが、去ることにした。

言える理由も言えない理由も色々あるが、言える範囲だと

  • 「グローバル EdTech スタートアップ」っぽさが薄れ「リクルートの子会社」っぽさが濃くなってきたこと
  • 会社としても自分個人としても、創業者との関わりが薄れてきてしまったこと
  • VPoE として取り組んだミッションを達成し、やりきった感(と同時に燃え尽きた感)があること

など、まぁ潮時だな......という感じ。

ここでは多くは語るまい。辞める頃には勤続七周年を迎えているはずなので、書けなかった六周年の分も含め「Quipper に入社して丸7年が経った」を書くときに思いの丈をぶつけたい。次に何をやるのかも、その頃には決まっているはず(でないと困る)。

*1:「退任」と書くとなんだか大層に見えるが、単に役職から外れただけです。他に適切な書き方があったら教えてください。

*2:「公約」も言葉のあやというか、社内に対して広く宣言した上で就任したわけではないです。「開発組織を立て直す」って「現状は立て直しが必要なほど悪い」と言ってるようなものなので、おおっぴらに言いづらかったし。