2022 年に発売した頃から気になっていた本。何週間か前に読み終えていたが、感想を書く時間が取れなかった。
IPUSIRON さんの読書中は extreme だが inspiring だった。効率・能率に拘泥せず、方法・手段を選ばず読むのだという姿勢には、率直に言って感銘を受けた。
特に、「くじ引き読書法」には仰天した。とてもユニークな発想で、実に興味深い。ぜひ実践したいと思う。来年の年初にでもやってみよう。
「分冊化読書法」は知っていたが、「旅先で読み終えたページを捨てれば荷物が減る」には、そこまで徹底するのかと驚愕した。
多くの点で、概念的な話に終わらず具体的なテクニックを模倣可能な解像度で紹介していて、非常に参考になる。読書記録の付け方も、彼のやり方が自分に合うかはともかく(おれはこうしてブログに書くのが一番合っている)、学ぶ点が多い。
紹介されたことの多くをまだ消化・実践できていないので、この本は手元に置いて、折を見て読み返したい。
印象に残った箇所
p63
読書の効率ばかり追い求めて、読書を始めないというのは本末転倒です。「いますぐ読書すること」、「状況に応じて柔軟に切り替えること」を肝に銘じてください。
p73
くじ引き読書法が効果的かどうかは人それぞれですが、試さないことには始まりません。もし合わなければ改善を加えるなり、やめるなりすればよいだけです。 くじ引き読書法は無理のない範囲で実践しましょう。メインの読書(目的を明確化した読書)がおろそかになってはいけません。 初めて挑戦する場合は、実験として1年に一度試してみましょう。 くじ引き読書法の記念日を決めるのもよいでしょう。残りの人生が 40年とすれば、くじ引き読書法によって、通常の読書では手に取ることさえなかった40冊に出会えることになります。そのうちの数冊はあなたの運命を変える本になるかもしれません。 読書という行為だけでなく、本を選ぶという行為も楽しむのです。 そして、得然に選ばれた本との出会いに感謝してください。いつの日か、その本があなたにとっての大事な本になるかもしれません。
p119
定義と定理を知る 学ぶ範囲がある程度決まったら、そのジャンルの本を選んで勉強する人が多いでしょう。数学などの理論についての本を読むとき、「なぜそうなるのかわからない」という理由で頭に入ってこない場合があります。もちろん、本に書かれている説明がわからない、という状況もあるかもしれませんが、意外と多いのが「定義」と「定理」の区別がついていない場合です。 定義は、用語などを定めたものです。つまり、誰かが決めたものなので、この内容に対して疑問を持っても意味がありません。たとえば、数学では「直線」という言葉が出てきます。一般的には、紙の上に物差しを使って書いたようなまっすぐな線を直線だと思うかもしれません。 しかし、数学での直線では幅はありませんし、長さもどこまでも続くものです。「幅がないと見えないではないか」と思うかもしれませんが、それを誰かが「直線」と決めたのですから、それに従うしかありません。 それに対して、定理は定義から導かれたものです。
p137
読書の枠を超えて学習を加速する 従来の読書の枠から外れてみよう 学習が目的であれば、「従来の読書」という枠からあえて外れてみることをおすすめします。結果的に学習の効果を高められるはずです。 場所を問わない 読書する場所といえば、自室、オフィス、通勤電車が代表的です。 それ以外にも、読書に活用できる場所はたくさんあります。日常生活するうえで誰でも、トイレ、風呂場を訪れます。移動中であれば、エスカレーターやエレベーターも利用するかもしれません。こうした場所に滞在するのはせいぜい数分程度ですが、1日分を合算すると1時間ぐらいになるはずです。 エスカレーターで読書する たとえば、哲学書を普通に読んでもなかなか読破できません。そこで「エスカレーターに乗ってから降りるまでに必ず1ページを読む」というルールを決めるのです。一種の縛りプレイといえます。 1日に4回エスカレーターに乗れば、1日で哲学書を4ページ読むことになります。年240日間エスカレーターを使えば、960ページも読めるわけです。これは1年で1、2冊の哲学書を読破できることを意味します。
p144
分冊化読書法は手にするページが物理的に少なくなるので、特殊な状況でも活用しやすくなります。 ・旅行中に読書する:旅行に読み切れる分量だけを持って行き、読み切ったら旅行先で捨てれば、その分だけ荷物が減る。ほかのアプローチとしては、旅行先で読書が捗る可能性があれば1冊丸ごと持って行き、読んだ先からページを破り捨て、徐々に軽くしていく方法もある。 資格勉強に活用する:章ごとに分割し、得点源にしたい分野に対応する章から読み進める。完全に理解した章(あるいはページ)を捨てる。 * 風呂場で読書する:物理本を風呂場に持ち込むと、湿気によりページが波打ってしまう。1冊丸ごとではなく分割してから風呂場に持ち込めば、湿気による影響範囲を限定できる。
p149
日本語の用法を取捨選択のヒントにする 漢字やカタカナに注目します。文章には、読まなくても文意が通じる「ひらがな」があります。特に一部の「助詞」、「助動詞」などはあまり重要ではありません。技術書であれば漢字やカタカナの方が重要であり、ひらがなを飛ばし読みすると、単純計算で全体の読むべき文字数の3分の1を削減できます。ただし、ひらがなでも接続詞(文章同士をつなげる役割を持つ語句)は例外であり、注目すべき文かどうかの道しるべになります。
p202
Notion に限った話ではありませんが、読書の本当の目的を見失わないようにしてください。目的とは、小説や趣味の読書であれば、本を通じて楽しい時間を過ごすことです。技術書の読書であれば、スキルや知識を習得することです。決して読書記録や読書メモを取ることが目的ではありません。メモやノートを取らなくても、脳に刻みつけることこそが肝要です。