@kyanny's blog

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最近思ったこと

日本経済新聞

特定疾患の自己負担額がまた上がり、月ごとに一回の診察・治療につき二万円になった。レミケードを八週感覚でやっているので、ならすと月一万くらいになる。

自己負担額は所得に応じて決まるものだから負担が重すぎるということはないし、補助なしではもっと高額になるところを免じてもらっているのだから有り難がりこそすれ不満など言えた立場ではない。

元アナウンサーが人工透析の患者を誹謗するようなことをいって炎上した一連の記事などを少し読んだ。正論だと思うし、自分が病気一つしない健康な身体の持ち主だったら賛同していたかもしれない。

けれども、人工透析ほどではないにせよ高額な医療に依存して生きている身からすると、医療を「足切り」すべきだという風潮は受け入れがたい。だって金払えなくなったら死ぬ、死ねってことだもの。それは過酷すぎる。人並み以上に働いて稼ぐことが難しい病人には、なおさら。

1 on 1 evaluation - @kyanny's blog

先月下半期の評価面談をした。制度の開始時期の関係で上半期のぶんが通常のスケジュールより遅れたため間隔が短いが、今回から正規のフローということになる。

前回話にあがったのは Software Engineer in Test とかそういうキャリアのことで、しかし Quality Assurance を専門にしたいわけでもないんだよなぁ、というあたりがネックだったのだが、三ヶ月で状況が変わった。

アプリケーションをまたぐ機能テストの負担が急激に増し、リリース作業に多くの時間と人手がかかるようになってしまい、このままでは破綻してしまうので何か手を打たねば、ということになって、機能テストを自動化してテスト作業の負担を減らすプロジェクトを立ち上げて夏頃から掛け持ちでやっている。

単体テストはけっこうしっかりやっていると思っていて、 Rails で書いているサーバサイドはもちろん、 CoffeeScript と Marionette.js で書いている クライアントサイドのシングルページアプリケーションも、カバレッジは 60% から 80% はあると思う。

しかし複数のアプリケーションが非同期に連動する機能は単体テストでカバーするのが難しく、自動化したテストを書く試みは社内で何度も行われてきたが、テストのメンテナンスが追いつかず頓挫を繰り返してきた。

今回は社内の「プロジェクト制」のフローにのっとり、目的や期間を明示したうえでちゃんとプロジェクトとして承認され、この作業にリソースを使ってもよいとお墨付きをもらったうえで取り組んでいる。過去の失敗例はエンジニアが「片手間」でやっていたため、継続的な取り組みができないことが原因だったと考えたのだ。

残念ながらまだ結果は出せておらず、何度もスケジュールを延期している。他の開発プロジェクトと二足のわらじで取り組むのは思っていたよりも大変で、まとまった時間を確保できない。見積もりが甘かった。 Selenium WebDriver のブラウザ毎の細かい振る舞いの差にも苦しめられた。幸い、難易度の高さや重要性には理解を示してもらっているので、実運用にのせるまでしっかりやりきりたい。

それ以外では、評価面談だから当たり前だけどやっぱりキャリアの話になって、「プロダクトコードを書くことに強いこだわりがあるのは理解できるけど、どちらかといえば技術のスペシャリストよりも人・組織・プロセスとかのマネジメントが向いてるタイプだよね」と鋭い指摘を受けた。

好き嫌いが激しいし気分にムラがあるから向かないんじゃないですかね、と反論したら「(もしそういうキャリアに進むなら)そういうところは直したほうがいいね」と切り返されてしまい、ぐうの音もでなかった。

自分でも、技術のスペシャリストにはついぞなれなかったな、という事実は受け入れている。組織が成長するにつれ、そういう人間がハブ・パイプ役の仕事をするようになる、というのもわかる。そういう仕事も大事で、こういう変化はどこの会社でも起きているというのも知っている。

でもまだひっかかる。仮に数年後、自分が四十歳になったときマネジメント中心に仕事内容がシフトしていくとして、そこに「肩たたき」的な要素が全くないのか?といえば、そりゃ当然あるだろう。

スポーツ選手と違い、ソフトウェア開発者には肉体的な限界で現役を引退するということがない。であれば例えば逆に、スポーツ選手にも肉体的な限界が無く、実力と実績と年俸とニーズのバランスで現役を続けられるか否か決まるとしたら、トップ選手が死ぬまで競技をして巨額の報酬を得られる一方で、選手生命十五年くらいになると指導者とかチームスタッフとかへの転身を打診される人は、選手としての価値がもはやコストに見合わないと判断されたということだ。トップ選手はもちろん、自分より実力と実績で劣るが年俸の安い若手にも負けるということだ。

そういうことを、易々と受け入れてしまっていいのか?いやむしろ、その日が来たときのために今から備えておくべきなのか?と考えているうちに、プロスポーツ選手が明らかに全盛期より見劣りするパフォーマンスしか出せなくなったのに現役続行にこだわる理由がわかった気がした。

まぁ、「コストに見合わないんで、首切りますわ。それか年俸大幅カットね」とならないだけ、サラリーマンはマシではある。