@kyanny's blog

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Re: 手を動かさないマネージャーを試している - id:onk のはてなブログ

どうやら、仮にこの仕事を〜〜がやったとしたら上手くいくか、チームをこう分割すると認知負荷が減るか、リーダーを誰に任せると覚醒し得るか、という思考実験を脳内で無限に繰り広げている、らしい。

マネジメント職をやっていたとき、唯一面白さを感じられたのがこういう「読み」をやる部分だった。

ビジネス側のニーズに応えるためにはどこに何人・何チーム必要で、採用計画から逆算するといつまでに何人のマネージャーが必要で、誰が候補者か、どの人事考課タイミングで昇格させるのか、何を根拠に昇格人事を通すのか、何をやらせて実績を積ませるのか。新任マネージャーの新設チームにはどのメンバーを付けるのか。それを見越していまどんなプロジェクトで組ませられるか。

キーマンは誰か、どこに張るべきか、やらせたい仕事と急ぎの仕事のバランスをどう取るか、人間関係の問題にどう対処するか。有能な人材をプレイヤーとして使うのかマネージャーとして使うのか。退職リスクはどのくらいあるか、誰がいつ辞めたらどの程度のインパクトがあるか、辞めたあとの陣容はどうするか、誰をどこから動かすのが最善手か。組織内外からの異動への反発をどう抑え込むか、どんな理由づけなら錦の御旗になるのか。

メンバーの望む異動を叶えられない・昇給を認められない場合、本人のモチベーションケアをどうするか、マネージャーのケアをどうするか。マネージャーが言い訳しやすい理由をどうやって作り、説明の仕方まで含めてどのように説明するのか。今後のことを考えてどのマネージャーにどういう状況でどこまで負荷をかけて経験を積ませるのか。決定に不服で退職リスクが高いのは誰か、辞めた場合の直接ダメージと周囲への間接ダメージの大きさはどの程度か、他部署への異動などダメージ軽減のために使えるオプションはあるか、そのための根回しは可能か、おれは交渉材料を用意できるのか。

おれの後任は誰に任せるのか、第二第三第四候補は誰か、後継者候補への前フリはどんな話題のタイミングでどのくらい踏み込んで触れるのか、こういういやらしい「戦略」の組み立て方や他部署との交渉などの政治的なことをどこまで、どのように伝えるのか。上司その他話を通しておくべき社内のキーマンは誰で、いつどのようにどんな順番で打診するのか。

まだまだ挙げればキリがない、ような気もする。こういうのは戦略ゲームっぽくて知的好奇心を刺激されて、組織図を睨みながらずっと考えていられた。数ヶ月単位で先の出来事を読んで、思い描いた絵に近づけるように手を打って、狙った通りに読みを通せたときは達成感があったし、イレギュラーが発生して読みが外れた・通らなくなったときも、それはそれで新しい読み筋をまた考えて考えて頭がフル回転する感じに興奮した。

マネージャーの仕事、マネージャーという立場はストレスが大きすぎて自分には向いてないと結論づけたけど、戦略ゲーな部分だけだったらまたやってもいいなと思う。