SNS で「面白い、そして料理するシーンがめちゃ美味そう」との評を見かけて買ってみた。
タイトルから想像していたのは、「孤独のグルメ」の井之頭五郎みたいな地味なおっさんが炒飯を作って食べる傍ら裏稼業のスナイパーとして暗殺に明け暮れる、でも狙撃はあくまで物語の添え物、片手間でやってるような描かれ方で、軸足は炒飯にある、みたいなコメディタッチな話……(あるいは、いやむしろ「きのう何食べた」で筧史朗とケンジが暗殺者コンビで……みたいな)を期待?していたのだが全然違って、ハードボイルド小説だった。料理のシーンなんてほとんど出てこないし、別に美味そうでもない。
ハードボイルド小説としては、まあスラスラ読めたし、後半はダレたが途中で投げ出さない程度ではあった。スナイパーものはそもそも一定は面白いので、ジャンルというか題材のおかげともいえる。スナイパーの「じっと待ち、勝負は一瞬で決する」という静と動の世界は、文章による描写と相性が良いのだと思う。