@kyanny's blog

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Re: I Miss Heroku's DevEx - Xe

I Miss Heroku's DevEx - Xe

元 Heroku 社員で Deis ほか Heroku クローンにも仕事やプライベートで関わっていた人が、Heroku がいかに素晴らしかったか、そして Salesforce に買われていかにダメになったかを赤裸々に語る記事。

曰く、Heroku のすごかったのはアドオン含めたエコシステム全体の完成度で、git push とかするだけで「クラウドのどこかで」リソースが用意される体験は、たとえば Deis クラスタを自前運用することでは得られない、と説く。かつて Deis の利用者だった身として、これには同意できる。おれはプラットフォームの利用者に過ぎなかったが、クラスタの不調で運用者が苦労している様子を見ていて、大変そうだなあ、と思ったものだ。

大企業に買われて残念な感じになるのもあるあるだ。ヘッドカウント不足に悩まされたとあるので、Salesforce において投資対象部門ではなくなっていたのだろう。こういう話で不思議に思うのは、Salesforce は何のために Heroku を買ったのか、買収の目的は達成できたのかということ。まあ究極的には株価が上がればなんでもよかった、という話なのだろうか。ドライな世界。

一つ引っかかったのは、この人の経歴によると Heroku にいたのは 2017-2019 の二年間のみ。Heroku の買収は 2010-2011 に行われたので、この人が入社した時点で多かれ少なかれ Heroku の Salesforce 色は強まっていたはずで、この人は Heroku が斜陽になっていく期間に在籍していたのだと思う。感じ方は人それぞれとはいえ、とっくに大企業の子会社化している会社にたった二年いただけにしては、この記事の書きっぷりは感傷的すぎると感じた。お前がいうな、とまでは言わないが、こういう話をするに適格な人物がについては疑問が残る。しかしまあ、買収後も長年「らしさ」を保っていて、2018 年前後についにもたなくなってきたということであれば、わからなくもないし、Heroku の幹部はよく頑張ったといえる。

この記事、というかこのウェブサイトのブログは Webmention に対応していて、言及元の URL が末尾にずらっと並んでいる様子はトラックバックやはてなダイアリー・tDiary のリンク元がずらっと出るやつを彷彿とさせた。Webmention を使ってるブログを始めて見た。