@kyanny's blog

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ブログに引きこもる

一意のタイトルはつけたくないし、ハッシュタグをつけるのもいや、という気持ち|佐々木大輔|note

ブログを語れるほど詳しくはないけど。

ブログが登場したとき個人ウェブサイトとかウェブ日記と比べて画期的だと評価されていたのは、トラックバックによって他のブログと繋がれたり、RSSフィードを配信することによって広く情報発信できることだったと記憶している。つまり、ブログはそれまでに存在した「個人のためのインターネット」と比べて「(他者に対して)開かれている」ところに特長があった。

それが今やどうだ。ブログは開かれているどころか、積極的に引きこもるための場所になってしまった感すらある。RSSリーダーは衰退し、人々はRSSフィードを購読するのではなくSNSのタイムラインを眺めることによって情報を得るようになった。誰かがSNSにシェアしない限り、ブログに書いたことは(一部の物好きな人々以外には)基本的に読まれないし話題にもならない。

トラックバックは絶滅し、ブログ同士が繋がるという感覚も失われた。ブログというプラットフォームはもはや繋がる仕組みを提供せず、特定のブログサービスがサービス内に閉じた繋がりの仕組みを提供している場合にのみ、互いに互いを感知できる。そういう仕組みがないサービスを使っていたり、サービスをまたいで言及されたときは、SNSを介さなければ繋がれない。この記事冒頭のリンクも、リンク先の著者が気づく可能性は高くないだろう。

どちらかといえば身近な人々と密度の高い交流を楽しむために生まれたSNSが、本人が望まないくらい広範囲にメッセージを届けてしまうパワーを持ち(その結果しばしば炎上し)、それとは逆の志向をもって生まれたブログのほうが、ひっそりと狭い範囲の人々にだけメッセージを届けやすいものになってしまっている、という状況は、なんとも皮肉だ。おれがTwitterにでも書けばいいようなことばかりブログに書くのも、文字数制限ばかりが理由ではない。