@kyanny's blog

自分の不名誉になるような考えを最初に大胆に表明することは、自立への第一歩となる - ニーチェ ドイツ哲学者

草薙といじめの構図

最近テレビを観る時間が増えて、お笑い芸人の草薙を見る機会も増えた。この草薙の、バラエティ番組でのいじられ方が、いじめの構図っぽくて嫌だなあと思った。

草薙はオドオドした態度と喋り方が特徴的なキャラなので、おそらくテレビに登場し始めた頃は「キモい、なんかムカつく」という扱いだったのではと思う(テレビに出始めた頃から見てるわけではないと思うので憶測)。先輩芸人にいじられてオドオドする様子で視聴者の笑いを誘うわけだ。これは典型的ないじめの構図に当てはまる(もちろんテレビなので演出してるわけで、いじってる先輩芸人もいじられてる草薙も演者に過ぎないのだろうが)。

しかし草薙のいじられ芸は視聴者にウケた。ついでに草薙のキャラ自体が、「キモい」ではなく「キモ可愛い」みたいな形で受け入れられたのではないだろうか。これが演出家たちにとって誤算だったのか想定内だったのかは知らないが、賢い彼らは方向転換を試みた。草薙を「いじ(め)られっ子」から昇格させたのだ。かわりに相方を「最近スネてるキャラ」という演出でいじ(め)られっ子ポジションに置くことも忘れずに。これも、いじめでよくある構図だ。いじめの場合は、単にいじめっ子側が同じ奴相手に飽きて気まぐれにターゲットを変えただけだったりするわけだが。

なので今後の展開をいじめの構図になぞらえて予想すると暗い気持ちになる。どれほどウケても草薙はいじ(め)られっ子カーストからは抜け出せない。今はいじる側からチヤホヤされて強気に振る舞えていても、いずれまた元のポジションに戻される。その時はギャップと慣れがあるぶんいじ(め)られ方もエスカレートする。相方と再度立場が逆転していじられる、なんて演出もありえるだろう。そういうのが全て、常に絶対強者として安泰な立場の先輩芸人によって気まぐれに行われる。それを見て周囲の芸人たちが笑い、それを見て視聴者も笑う。いじめの現場を見て笑う。

繰り返すがこれはテレビの話なので演者に悪意はないだろうし、草薙もいじめられているというよりは芸人として「おいしい」ポジションなわけで、誰も傷つかないしみんなハッピーなわけだ。草薙は売れてハッピー、芸人たちもテレビ関係者もスポンサーも視聴率がとれてハッピー、視聴者は笑えてハッピー。いじめだなんだというのはおれの妄想に過ぎない、考えすぎというものだ、コロナ疲れで精神過敏にでもなっているのか、バラエティ番組でもみてリラックスしなよ。

でもやっぱり、観ててあんまり愉快なものではないよな、という感覚を忘れてはいけないと思うのだ。おれだって草薙がいじられて芸人が笑ったらつられて笑ってる。でもその笑いは本物なのか?