@kyanny's blog

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死刑にいたる病

これまで読んだ本の中で最も衝撃を受けた一冊に我孫子武丸の「殺戮にいたる病」を挙げたい身としては「〜にいたる病」という表題は無視するわけにいかず、少し前から Apple Books などで見かけて気になっていたところで、感想ブログも見かけたのでそれを機に読んだ。

サイコパスに翻弄され、洗脳されていきながら真実に近づいていくが…という感じの内容。後半のどんでん返しには多少は驚いたが、目を見張るほどの衝撃はなかった。まだ終わっていないことを仄めかす描写が最後に出てきて少し薄寒さを演出していたが、それも伏線が(直前のだが)わかりやすく、意外性はなかった。

虐待の悲惨さはよく描けていて、伝わる内容だった。ただまあ、真剣に知りたい人はミステリ小説ではなくてノンフィクションやルポルタージュを読むだろうけど。文体は程よい硬さ・冷たさがあって読みやすかった。

飽きずに読めたがこれといって特筆すべき点もなく、星3。

なお、「殺戮にいたる病」について偉そうなことをいう割に、それがキルケゴールの「死に至る病」のオマージュだということを今知った。にわか。