「TODO リストはやめろ、スケジュール表に予定を入れろ」という説を初めて見たのはどこだったか覚えてないが印象に残っていて、改めて検索したところ本に書いてあることらしいと知ったのでその本を読んでみた。
この記事経由で本の存在を知った。
いま検索して見つけたこの記事を、過去に読んだような気もする。
いわゆる時間管理術の本で、著名人や成功者のノウハウを断片的に紹介しつつ著者の主張としてどうにかまとめ上げようとしている、があまり纏まってない、という感じ。
TODO リストの話を含めて、以下の章の主張・内容は説得力があったし、割とユニークでこの本で読む価値があった気がする。
- 3 ToDo リストをやめる
- 12 テーマのある毎日
- 13 「一度しか触らない」ルール
- 15 すべてはエネルギー次第
3 ToDo リストをやめる
すでに書いたとおり、ToDo リストに(いつやるかもわからないタスクを)追加するのではなく、スケジュール帳に「何月何日の何時から何時までこれをやる」というふうに書き込め、というプラクティス。説得力がある。Google カレンダーとか使うと簡単に実践できる。
ただしすべてをスケジュール帳に入れるのは無理がある。所要時間の見積りが難しい場合や、具体的にいつまでにやらないといけないと決まってないことなども「やること」としてどこかに記録しておきたい。そういう用途にスケジュール帳は使えない。同様の批判意見もある。
現実的には、やはりタスクリストは別途用意したうえで、定期的にタスクリストからスケジュール帳に移動してタスクリストから削除する、というやり方になるだろう。「タスクリストからスケジュール帳に移動する」という定期タスクをスケジュール帳に入れるところから。ただそれでも「いつやるか不明なものが残り続ける」という問題は解決しない。それでも ToDo リストと違って「Done」になってなくてもリストから消せるのは良い点だろう。
12 テーマのある毎日
曜日によって「ミーティングの日」とかテーマを決めるとスムーズになる、という主張。「予備日」を作るといい、というアイデアが面白かった。スケジュールをぎちぎちに詰めてしまうと緊急時に弱い、というのへの対応。ただこれは自分で「いつ何の仕事をするか」を決める裁量が大きい人でないとメリットが享受できない。パッシブな仕事(自分ではない誰かがランダムにタスクを発生させ、それに即座に対応する、みたいな)の場合、何曜日は予備日とか決められないので苦しい。
13 「一度しか触らない」ルール
いわゆる GTD なのか?ちょっと違う気もする。極端すぎる気もして、たとえばメールチェックして「五分以内で処理できるものはその場で処理する」は説得力はあるけど、本文中の例だとメールごとにランダムな作業が発生してコンテキストスイッチが激しそうで、効率良くなさそうに思えた。むしろ一回ざっとながめて分類して、請求書関連のメールは二巡目で全部まとめてやる、とかの方がいいのでは。
15 すべてはエネルギー次第
この観点は面白かった。一日を過ごすうちにエネルギーはどんどん減っていき、エネルギーが減ると意思決定とか色々難しくなり能率が落ちるので、重要な仕事ほどエネルギーがあるうちにやれ、というもの。朝早起きしろ、というおれが嫌いな主張とも通じるが、単に早起きしろと言われると小学生の頃から夜型だったんだよ悪いかとムカッとするけど、エネルギーの残量が重要なんですよと言われると確かに body battery あながち当たってるしな、と納得できたりする。
その他印象に残ったフレーズなど。
- ビジネスゲームでキャラクターを作るとき、割り振れるキャラクター・ポイントが10ポイントあるなら、私は3ポイントを知性に、7ポイントは自制力に割り当てる」
- 「私は常に、優先順位リストの一番上から取りかかる。最も重要なことに取り組まない週があったとしたら、その1週間は無駄だったということだ」
- いずれにしろ、学びと心の充足が重要なタスクであることを認識し、〝火急の〟用件にその予定をつぶさせるようなことはしなかったのだ。
パソコンではなく手で書く
- パソコンを使った学生は、鍵となるコンセプトをメモするのではなく、スピーチをそっくりそのまま書き取っていた。
手書きでノートを取る行為は、傾聴し、認知的な処理を行い、最後にそれを想起して記録するという、一連の活動を伴う。それに対してパソコンでノートを取る人々は、発せられた言葉をただロボットのように記録するだけで、頭脳労働によってそれを処理することがない。
「あとでやる」を選択することは、「ただちにスケジュール表に追加する」と同義である場合がほとんどだ。つまりメールをスケジュール表(ToDoリストではない点に注意!)に文字どおり「移動させる」のである。
これはなるほど確かになーと思った。ただ、手書きの問題点は、おれの場合もはやタイピングよりずっと遅いのと、字がものすごく汚くて上手く書けないので書いててイライラしてしまうし読めない。心を落ち着かせる瞑想的な効果も期待しつつ、いつか書道とかペン習字(日ペンの美子ちゃん!)とか習いたい。
遠くの象にご用心
- 3週間後のスケジュール表を見て、会議もランチの予定も入っていないとわかれば、誰だって、ついその日のランチの誘いを受け入れてしまうだろう。
- 異論あり: いやそこは当然予定を入れるだろ。そして後からの予定の方が重要ならリスケや断るだろ。
「すべてのイエスは他へのノー」であることは事実だが、単にノーと言うのは難しいものだ。その理由はたくさんある。
- 異論あり: 理由も何も、予定がないのに断る理由はない、その誘いに気乗りしないのでない限り。
80対20の思考
- ・手っ取り早い方法がないか探す。
- ・最も重要なことには特別に力を入れ、他は「そこそこ」で妥協するか、一切やらない。
- それができれば苦労はしない、のだが、でも検討に値する考え方
- ・2、3の分野に絞って卓越したスキルを身につける。すべてに熟達しようとしない。
- これはとても重要で、肝に銘じたい
- ・自分にとって特に重要な20%の目標や活動がわかれば、働く時間もストレスも減り、もっと幸せになれることを理解する。
「人に委託できるものを積極的に探す人のほうが、高い生産性、幸福感、気力を申告する。また、『過労で参っている』と感じる可能性が低い」
- ・断念する:あきらめていいものはないか?完全にやめられるものはないか?
- ・委託する:部下に任せられるものはないか?外部委託できるものはないか?
・再設計する:自分でやり続けるべきものは何か?それを能率のよい、別のやり方でできないか?
「外部委託に使えるお金がほんの少しでもあるなら、それを惜しまず、人の時間を買う。ここがポイントだ。自分の168時間をしっかり設計したら、あとは他者から時間を買って増やしなさい」
- 説得力がある。自分の時間は増やせないから他人の時間を買って増やせ。
「やりたくないことや苦手なことをやる以上に、無駄で非生産的なことはない。そのカテゴリーに当てはまるものは何であれ、できるだけ早く、他の人(理想を言えば、情熱と適性を兼ね備えた人)に委託しなくてはだめだ。そういう類いの仕事を続ければ続けるほど、自分のやることを心から愛せるような生活、充実感を得られる生活は遠ざかってしまう」
結論を言うと、あなたはできるだけすべてのものを外部委託するようチャレンジすべきだ。ただし、以下のいずれかに当てはまるものは例外である。
- ①自分にとっての楽しみであり、心身を癒やし回復させる過程で必要なもの。
- ②自分のこだわりとして、やり続けたいもの。
③自分でやるよりも外部委託するほうが1時間以上余分に時間を食うもの。
「1年ごとに自分の時間の使い方を振り返り、最低でも15%の行為を委託する方法を見つけなさい」
最新ニュースを把握することがどんなに重要に思えようと、朝一番にニュースをチェックしたり、スマートフォンを見たりは絶対にしない。(中略)この朝の1時間を大事に守り、前向きで、きれいで、汚れがなく、創造的でインスピレーションに満ちた情報だけを取り入れるよう気を配っている。
・ヨガや有酸素運動の最中にオーディオブックやポッドキャストを聞いておくと、その日に何が起きようと、すでに勉強や娯楽といった自分の時間を多少は持てたとわかっているので、気分がいい。
私たちには毎日一定量の意志力が与えられているが、エネルギーが低いと、その分、意志力の消耗も早い。
「何をやるにもタイマーをセットしなさい。期限があるほうが生産性が上がる」
また、よい時間管理とは、一日中成果を出し続けることではないと心得よう。
あなたにとって信用と賞賛に値する仕事をしている人、とりわけ、あなたがやりたいと思っていることをすでにやっている人を見つけなさい。その人たちに助けを求めて、その人たちのアドバイスを自分の立場に当てはめてみよう。1時間の節約になるとか、そういうレベルの話じゃない。目標に到達するまでの時間を年単位で削減できる可能性がある。
20.「時間がかかることを恐れて達成を尻込みするな。どのみち時間は過ぎていくのだ。その過ぎゆく時間を、とにかく使えるだけ使えばいい」
44.「急いで間違ったことをするよりは、遅くても正しいことをしたほうがいい」
74.「もともとやらなくてもよいものを効率よく行うことほど無駄なことはない」―ピーター・ドラッカー