金沢情報で知って気になった映画。
石川・金沢が舞台であること、クリエイターの挫折を描いていそうなこと(ヒロイン?の影のある雰囲気に惹かれたこと)、ヨルシカの MV を制作してる人たちが関わっていることなどに興味を持った。
作画?はゴリゴリの 3D CG で最初は違和感があったが、観ているうちに多少は慣れた。劇中歌はとても良かった。歌唱アーティストのオリジナル曲も聴いてみたくなった。金沢駅や千里浜なぎさドライブウェイなどランドマークはわかったが、街並みの風景はどのあたりかわからず、やはり自分は外様にすぎないことを再確認した。
先生が熱唱するイラストが良かったのでムビチケカードを買った。入場者特典は第二弾のオリジナルギターピック狙いだったのでこの週に。無事にゲットした。劇中で KanaBee への言及が無かったと思うが、これは何だ?てっきり先生のバンド名と思ってたが観たらソロシンガーだし。Founded in 1946 ってことは金美なんだろうけど、制作陣がカナビ卒ってことなのか?グッズは買うか迷ったが、ピックを集める趣味はないしギターも弾かない、ランダムだとコンプリートしたくなるがしたところでどうだというのだ?パンフレットも買うだけ買って読んだ試しがないし……と、結局何も買わなかった。が、やっぱりクリアファイルセットくらいは買っておくべきだったかもしれない。ライブのシーンで歌った二曲が何と何だっけ?とか、MC との繋がりを理解し損ねているので、もしかしたらもう一度観に行くかもしれない。そのときに改めて購入するかもしれない、まだ売っていれば。
YouTube・Spotify で劇中歌が聴ける。サントラ買わなくても聴けて便利。いまどき CD 再生機なんて持ってないし。でも使わなくても買いたいような気もする。あらためて聴くと、なんとなくヨルシカっぽい気がする。
以下ネタバレ
主人公が才能を羨む友人が、その見られ方とは裏腹に己の才能の無さを思い知っていて、先生の諦念を理解できている、という展開は皮肉だが良かった。前半、主人公との会話シーンで常にスケッチブックに絵を描いていた友人、美術室でその友人が数十冊のスケッチブックを書き溜めてもなお自分の才能に疑問を抱く様は静かな説得力があった。そのシーンで、一つ空けて左隣に座ってた女性が泣き出した。まあグッとくるシーンではあったが泣くほどかというと……まあ、創作の苦しみを体験した人だったのかもしれない。
自分の作ったものの可能性をポジティブに無邪気に信じている主人公、彼が感動して作った MV はその歌の主題を全く汲み取れておらず先生に拒絶される。しかし彼は最終的に己の信じる道を行き、二作目はついに先生の心を動かし……と、まあハッピーエンドのほうがスッキリするのはわかるが、二作目は正直そこまで素晴らしいとは感じられなかった。
創作への情熱、自分の作品が他者より劣ることを知ったときの悔しさ、それでも作り続けるひたむきさ(あるいは業)、そして気づけばライバル(あるいは仲間)たちは皆諦めて去り最後に立っていたのは自分だけで、それでもなお作り続ける、そういうテーマというか言いたいことはベタすぎるほど伝わるのだが、その表現を一手に引き受けるキャラクターの表情に深みがなく、単方向しか向いていないと感じた。まあ、スキルはあれど創作者としてはまだまだ未熟な主人公が作ったからこそそういう風にしかならなかった、という表現と受け取ることもできなくはないが……。
むしろ、二作目は先生に受け入れられるものの心変わりさせるには至らず、主人公は初めて創作における挫折を味わうがそれを糧に、ただ夢中でやっていただけのフェーズを脱して真剣に創作と向き合うようになり、ようやく先生と友人が立っていた場所に追いつく……そんなビターな結末のほうが良かったのではとも思う。
劇中、先生が歌を公開している YouTube っぽいサイトの再生回数が軒並み数百回、コメント 0〜数件という閑散さがチラッと描かれていて、数百という数字に妙なリアルさがあった。誰にも見られていない・聞かれていないわけではなく、しかし成功するには圧倒的に足りない、たどり着ける限界の低さを残酷なまでに映し出していて、それが先生の心折れるに至る独白の最中で映し出されるのが、残酷ゆえの美しさだった。