We're relocating everyone to Chicago – Signal v. Noise
Getting Real, REWORK などで有名な 37signals のブログにショッキングなお知らせが。曰く、
- すべてのスタッフをシカゴのオフィスに勤務させる (タイムゾーンの問題)
- ラップトップではなく、鎖で繋いだ iMac を使う。個人所有のコンピュータでは仕事をさせない (セキュリティの問題)
- スタッフが Facebook, Reddit, Hacker News, Twitter などにかまけて怠けないようにする (生産性の問題、これ具体的にどうするつもりかわからなかった)
- 制服を着用させる (愛社精神の問題)
なんてことが書いてあった(間違ってるかもしれない)はっきり言って、ダサい。よりによってお前らがそれを言うのか?こういうのにみんな辟易としてて、だからこそ 37signals が書いた二冊の本は人気を博したのだし、イケてる働き方を実践している 37signals にみんなが憧れ、ブランディングに成功し、企業イメージも良くなったんじゃなかったのか、と言いたくなる。
タイムゾーンの問題はわからないでもないし、セキュリティの問題も仕方ないのかなと思う。しかし鎖で繋ぐというのは穏やかじゃないし、 Facebook なり Twitter なりを見ることを「怠けている」と言っていることとあわせると、物理的な盗難防止のためというのは建前で、実際には管理することそのものが目的になっちゃってるんじゃないの、と勘ぐりたくなる。制服に関しては、これはひどいとしか言いようがない。制服を着たくらいでスタッフに愛社精神が芽生えるとは思えないし、プライドを持たせるために制服が必要なんだとしたらそんな仕事には魅力がないということだ(制服着用が義務付けられている職業をけなしているわけではありません)
奇しくもこのエントリが書かれた日付が 4/1 だったので、「エイプリルフールのネタか?」というコメントが目立つ。失望したとか、怒って REWORK を燃やしそうになったとか、総じて「残念だ」という意見が多い。皮肉や中傷も少なくない。「エンタープライズへようこそ!」とかね。あと、なぜか制服を欲しがるひとが何人かいたが、傑作だったのは「その制服はどこで買えるんだ?新しいパジャマが欲しくてね」ってやつ。これはジョークだとしても、ファンのなかには純粋に 37signals のデザインした服に興味があるというひともいるのだろう。コメントは半分くらいしか読んでないのでもっと面白いのがあるかもしれない。
それにしてもずいぶんと思い切った方針転換だ。ちょうど同じ日に 37signals がベンチャーキャピタルから追加の投資をうけたというニュースがあり、これが関係あるのでは?とコメントしているひともいたが、実際のところはどうなんだろう。無関係ということはないだろうけど、これが決め手になったとも思えない。いろいろな問題がからみ合っていて、理由をひとつだけ挙げられるようなものでもないのだろう。
37signals でさえ「普通の会社」にならざるをえなかった、というのは悲しいことだ。しかしもっと悲しいのは、 37signals という企業が大きくならざるをえなかったことだ。「小さなチーム」のままではいられなかったのね...という。企業は利益をあげなければならない、それはわかる。わかるが、売上も利益も従業員数も右肩上がりを目指し、どんどん図体がでかくなっていくのは避けられないことなんだろうか?ほどほどの人数が、ほどほどに食っていける程度の規模を維持する、というのは難しいことなんだろうか...
小さなチーム、大きな仕事―37シグナルズ成功の法則 (ハヤカワ新書juice)
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