すごく面白かった。人工知能研究の歴史とそれぞれの時代の課題がとてもわかりやすく解説されていて、まさに「本には先人の叡智が詰まっている」を体現した一冊だと思う。機械学習とディープラーニングがなぜ今注目されているのか、それらの技術のどこにこれまでと違う強みがあるのか、そういう専門的な内容も易しく説明されており、良書だと感じた。
ただ、副題にもなっている第6章、そして終章は、日本の人工知能研究を背負う立場もあるのかやや大局的な話になってしまい、5章までの充実した内容と比べると息切れした印象を受けた。それから、 Kindle 版の表紙イラストはちょっと「オタク(サブカル)」っぽすぎて、せっかく良い本なのにアニメ絵のせいで敬遠されたらもったいないな、と思った(実際、自分もなんどか Amazon のおすすめ等で見かけて興味を持っていたものの、表紙をみて買うのを躊躇していた)
しかしあとがきを読んで、この著者こそがあの、女性メイドロボット表紙イラストで炎上した「人工知能学会誌」の編集委員長をまさにその時やっていた人だったことを知り、この表紙も確信的に狙ってやっているのだな、と合点がいった。

- 作者: 松尾豊
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / 中経出版
- 発売日: 2015/03/10
- メディア: Kindle版
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