Slack に限らず、ビジネスチャットツール全般に当てはまるが。
分報チャンネル
#times_xxx
みたいなやつ。あれは非効率な雑談ネットワークであり、多くの時間を無駄にしている。
「自分のメモ用途だ」という主張をよく見かけるが、わざわざパブリックチャンネルでやる理由に乏しい。
- 個人の DM にメモやファイルを保存すれば良い(Slack が推奨している)
- DM よりチャンネルの方が bot を飼えて便利なこともある。ならばプライベートチャンネルを作れば良い
- そもそも Slack はコミュニケーションツールであってメモツールではない。メモツールは他にいくらでも選択肢がある
パブリックチャンネル vs プライベートチャンネル(グループ DM 含む)を単純に比較したら、パブリックチャンネルの方が良いに決まっている。しかし分報チャンネルには「パブリックが正義」の原則は当てはまらない。
パブリックな分報チャンネルは「他の誰かが参加してたまに反応すること」を期待している。反応があるのは純粋なメモではなく、何気ない意見や疑問に対しての方が多いだろう。そこから発生した雑談に意味がないとは言わない。しかし「待ち受け専」な態度は気に食わない。自分が提供した話題についての雑談を期待しているくせに、相手から反応があるまでじっと待つ。職場で釣りをするな。
分報チャンネルは一人につき一つずつ存在する。つまり雑談スペースが人数分生まれる。雑談(ざつだん)とは、特にテーマを定めないで気楽に会話すること
なのだから、雑談チャンネルは一つあれば十分だ。個々人が持つ意味は無い。
分報チャンネルには持ち主以外の参加者がいる。参加者は複数の分報チャンネルに参加し、分報チャンネルの持ち主同士が互いに相手の分報チャンネルに参加し合うことすらあるだろう。ネットワークのノード(参加者)が増えるとエッジは指数関数的に増えていく。この雑談ネットワークの参加者が、いくつもの分報チャンネルを常時チェックし合うことに、馬鹿にならない時間と労力が費やされているはずだ。
分報チャンネルの弊害は参加者たちの生産性を下げることだけではない。分報チャンネルにオーナーが投稿する内容は、仕事内容と関係があることが多い(もし全く仕事と無関係のプライベートな内容だったら、 Twitter に投稿するだろう)。仕事内容と関係あるからこそ、反応から発生した雑談が有意義な議論に発展したりするのだが、せっかくの良い議論も分報チャンネルという狭いスコープに閉じられる。
興味深い話題が発生した分報チャンネルにはさらに人が集まり、有意義な議論の分散が加速する。雑談ネットワークに参加している人とそうでない人の間で情報のギャップが深まり、元々議論なり雑談なりのために用意されていた「公式の」チャンネルは過疎が進み、骨抜きになっていく。最終的に、実質的なコミュニケーションはサイロ化された小さいチャンネルだけで行われ、大きなパブリックチャンネルは一方通行の広報のみにしか用いられなくなる。せっかく空間的な制約のないデジタルワークスペースを使っているのに、「近くの席の人としか喋らない」スタイルのコミュニケーションにわざわざ後退するわけだ。
上記のような問題点を指摘し、改善を促すために #times
というチャンネルを作ったことがある。 #times_xxx
を集約したチャンネル、という意味である。案の定そこはただの雑談チャンネルになり、「#random
と同じではないか」という指摘がでた。だから、そうだと言っている。
文字の絵文字
みたいなやつ。趣旨も見た目もダサい。
そもそも、絵文字というものを理解していない。絵文字(えもじ、えもんじ)とは、語(音形)ではなく、ものや事柄を、絵を文字のように用いて象徴的に示唆したもののこと
なのだから、文字そのものを見せたら台無しなのだ。
そしてこの手の文字絵文字(と勝手に呼んでいる)は、不思議と内容がダサくなる傾向がある。例: (これはこれまで見た中でも最悪のものの一つだ。なおこの「さすが○○シリーズは複数の役職名・個人名のバリエーションが計 100 個以上ある。アホかと)。いつの時代のノリなのか。
絵文字は使う側にも見る側にもセンスが求められる。「絵」の意味は文脈によって変わる。だからこそ、文脈に合わせた使い方を考える必要があるし、意外性のある絵文字を持ってくることが粋にもなる。文字絵文字は無粋なのだ。
なお、これまで見た中で最も秀逸だと思う絵文字(文字ではない!)は以下の二つだ。
:awesome:
:dammit:
おそらく「ザ・シンプソンズ」のキャラクターだと思うが、実に味がある。順位をつけるなら当然 :awesome:
が一位である。英国人の元同僚が HipChat のカスタム絵文字として登録したのが始まりだったと記憶している。
絵文字の「粋」がわかる人はこの絵文字の良さを理解していて、複数の元同僚が「あの絵文字だけはダウンロードして新しい職場の Slack ワークスペースにも登録した」と言っていた。