@kyanny's blog

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Re: cakesサービス終了のお知らせ | cakesからのお知らせ | cakes編集部 | cakes(ケイクス)

cakesサービス終了のお知らせ|cakesからのお知らせ|cakes編集部|cakes(ケイクス)

エクスポート機能くらい言われなくても作れよnote株式会社のソフトウェア開発者たち。エンドユーザー向けに提供する品質で作るのが厳しくても、テキストと画像をぶっこ抜いて s3 あたりに置くスクリプトくらい書けるでしょ。事業判断として人的リソースも投入しない、という以外にも「古いシステムなので把握してる人がいない」みたいな理由もあるのかもと邪推するが、だとしても難しい仕事ではない。

やはりエクスポート機能もないサービスに大事なテキストを預けるのはリスキーだ、という意見もちらほら見かける。noteが選ぶに値しないプラットフォームであることには同意するが、それはエクスポート機能がないからでもクリエイターへのリスペクトが感じられないからでもない。クリエイター?クソくらえだ。Twitter でちょっとバズったくらいでクリエイターを気取るな。

話がそれた。おれはこのブログだか日記だかがある日突然綺麗さっぱり跡形もなく消え去っても、そりゃまあショックは受けるだろうしとても不便になるだろうけど、最終的には仕方ないと受け入れる覚悟はとっくにできてる。それははてながエクスポート機能を用意してることとは関係ない。仮に明日はてながエクスポート機能を廃止して明後日はてなブログをサービス終了しても、そしておれが自分の書いたテキストをエクスポートしそびれてバックアップがないとしても、はてなに「なぜやめたのか」の説明責任は求めたいがおれのテキストが消えたことそれ自体についてはてなを責める気は毛頭ない。

今書いてるこれも含めてほとんどすべてのテキストはどうでもいいものだし、本来なら記録媒体の経年劣化や破損紛失などによって適当に失われていってしかるべきものだ。ずっと残ることのほうが異常なのであって、それを当たり前のように考えるほうがどうかしてる。それにテキストはひとたび書かれたならば未来永劫書き手の完全なコントロール下に置かれるべきではない。テキスト自身の存在価値に応じて書き手の意思を超えて広まったり生き延びたりしてもいい。そういう権利、あるいは機会がテキスト自身に与えられるべきだ。まあおれの書いたテキストはほぼ間違いなく死滅するだろうけど、その生殺与奪はおれ一人の手に委ねられていていいものではない。

何の話だっけ?プラットフォームの話だ。プラットフォームのうえで書くということはそのプラットフォームと心中する覚悟を持つということで、自分のテキストを(ゴミ同然とはいえ)預けるからにはプラットフォームを選ぶ理由に自覚的であるべきだ。おれはテキストの所有よりもアンチ所有に関心があり、はてなにはテキスト自身の生命力をエンパワーする思想に裏付けられた仕組みがあると勝手に解釈している。すなわち、はてなブックマークと有志によるウェブ魚拓であり、はてなスターにおける引用スターである。おれはそのスタンスに魅力を感じていて、だからはてなを選ぶし、そのはてなからテキストが消えねばならないのならそれは消えるべきなのだ。

だから思想のあるプラットフォームには本当にちゃんと生き残って欲しいんだ。美学のあるプラットフォームにだ。Evernote お前のことだ。おれはいまだに「Remember Everything / すべてを記憶する」よりクールなキャッチコピーに出会えていないんだ。