@kyanny's blog

My thoughts, my life. Views/opinions are my own.

所属する組織の規模は個人の仕事観に強い影響を及ぼすと思う。

三千人規模の会社で末端の顧客対応の仕事をしている。顧客向けのマニュアルが間違ってたり情報が不足してることがよくある。ちょくちょく手直ししている。しかし、焼け石に水である。バグ報告もしかり。個々人が気づいたベースで報告・修正してたら埒があかない。根本的な仕組みを変えないと、大きな改善は見込めない。

数十人規模の組織で仕事をしていたときは、そのような諦観はなかった。やれば何かしらの成果があると期待できた。やるやらないは優先順位とコストパフォーマンスの問題だった。

異文化理解の文献を読むと、欧米人は原理原則のレベルでの問題解決を好み、即効性はあるが場当たり的な解決策は好まない、みたいな言説を見かけることがある。あれは文化的な違いだけでなく、欧米の大企業に勤める人たちが「ビジネスにおける異文化理解」みたいなテーマの研究対象に選ばれやすいからでは、とも思う。

欧米の企業で「インパクト」の大きいことをした人が評価されて出世する、という話にも通ずるところがある。でも、細かいところを気にしがちな日本人としては、誰の目にも止まらないような些細な仕事の積み重ねが質的な差を生むという神話を信じていたい。トヨタはバンパーの下も磨くのだ。