@kyanny's blog

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童貞が悩む原因は劣等感、そこは同意だが・・・

童貞の苦悩]であげられている三つの敗北、一番目と三番目は結局二番目の派生でしかないと思うなあ。って書いててなんかわかんなくなっちゃったんですけどねアハハ。要は「童貞相手に三つも勝つ必要はない」ということが言いたい。

童貞はなぜ、童貞であることを気に病んで苦しむのか。僕なりのまとめとしては、「劣等感」。この一言に尽きる。

* 生物の雄としての敗北
* 恋愛至上主義市場における敗北
* 社会的存在としての敗北

この3つの観点で「敗北」を喫していることが、童貞の劣等感の原因だと僕は考えている。

「生物の雄としての敗北」についての反論

これは理屈の上での話であって、実情にあっていない。生物の雄としての優劣でもって、劣等感を感じてはいないでしょう、実際普段の生活において。どうですか?童貞の皆さん。俺はそんなところまで行く以前にもっとたくさん劣等感を感じるところがあります。

あと、21世紀の日本の平均的な20代くらいの男子を例にとってみれば、より多くの子孫を残そうと思って励んでいるやつはいないでしょう。子孫を残す気はない(孕ませちゃったら困る)が、キモチイイ思いはしたい、だから励んでるわけでしょう。知らんけど。彼らに「中田氏しても平気なように、射精感はそのままに精子は全部殺す薬があるんだけど」と持ちかけたら売れるんじゃないっすかね。知らんけど。

「社会的存在としての敗北」についての反論

俺は「恋愛至上主義市場における敗北」で書かれてる内容こそ、この題をつけるにふさわしい、社会的な問題だと思うけど。ここで書かれていたこと、

逆に、特殊な人間関係を築いたり維持発展させることができなかったり、関係を構築できても事に及ぶまでの交渉ができないといった場合、社会的存在としての能力・価値が低いということになる。実際、「家庭も持ってないような奴に責任ある行動が取れるのか?」といった話も出てくる。

このへんなんだけども、昔(じいさんのじいさんの青春時代ころ)は悩む前にちゃっちゃと相手をあてがわれていたわけじゃないですか。きっと年寄りがさっさと死ぬから働き手を補充していくためにある程度の年になったら産ませようとしたんでしょうね。知らんけど。でじいさんの青春時代くらいまで進んでくると今度は家の事情ってやつですよね。政略結婚。うちのじいさんそんないい家柄じゃねーけど。でもまあ、ある程度の年齢になれば、「息子が遊女と戯れてふらふらしていては示しがつかぬ」とかいって見合いさせられたわけじゃないですか。それが普通だったと。知らんけど。

で、一番目は「いろんな女とキモチイイことできる男のほうが童貞よりもランクが上である」というルールに言い換えられて、三番目は「見合いがレアケースになりつつある現在、自由恋愛で相手を見つけられない童貞はダサい」というルールに言い換えられる。

今現在の社会において、恋愛と結婚と出産育児はひとつながりのイベントと考えられていて、恋愛>結婚>出産育児という並びで、右側のイベントは左側のイベントの上位派生イベントとされている。これが昔は見合い>結婚>出産育児が主流だったりしたわけ。で、左のイベントを起こして、クリアしないと、右のイベントに進めない、というルールが社会の掟で定められている。未婚の母に風当たりが強いのはルールを破っているから。「お見合いなんて絶対嫌」と言い放つお嬢さんが多いのも、見合いから入ったらルール破りになっちゃうから。

で、どういうわけか知らないけど、イベントの左端からルールが変わってきて、右側の変更はまだ遅れている。結婚して子供を産み育てることは、じいさんたちの時代と変わらず、人が一生のうちにクリアしなければならない重要なルールとして定められたままだ。だから、とりあえず適齢期になれば見合いで誰でもだいたい相手を見つけて次のイベントに進めていたものが、最初のイベントのクリア条件を満たせないやつが続出しはじめていて、なのに右側のイベントの発生条件は変わらないままだから、「ルールどおりに生きていない」というプレッシャーをかけられてしまう。

ここで言う見合いってのは、「健介、お前ももう35だ、そろそろ家庭をもってもいい年だろう。今日はいい話を持ってきたぞ。俺が昔世話になった方のお孫さんなんだが・・・」という、縁故ベースのもののことね。o-netとかそういう結婚相談所を利用すれば見合いなんていくらでも、というのはナシってことで。だってあれって出会い系と変わらないじゃないですか。でっかい箱に放り込まれてその中で自由競争でしょ。そうじゃなくて、しがらみがあるからむげに断るわけにもいかないような「見合い」のことです。いや別に俺が見合いしたいわけじゃないから。全然。まだ10年猶予があるっちゅうねん。

まあ、こんな御託を並べても別に苦悩が減るわけでもないんですね。ルールを変えるといっても、恋愛の仕方とかは法律で定められてないから改正するために政治家になるわけにもいかない。多数派の意見ってやつだから、仲間を増やして多数になってやろうというアプローチもある。非モテ論争はそういう意識の現われでもあったんじゃないかな。ルールが変わるまで待つ、というのはコストも低いし割とお薦め。でもたぶん自分が死ぬまでには立場が逆転するようなルールの変更はありえない。一番なのは「せめて自分くらいは、日々の生活で自分の劣等感を刺激しないような生き方をする」ことだと思う。つつましやかに、小市民的な生活を送っていれば、割と簡単に精神の平穏は得られる。非モテとか声高に叫び始めたりしないことが、安定した生活には大事です。現に俺ははてなRSSを一度も見なかった一週間はすごくフラットな毎日をエンジョイしています。

収入の面でも、今後勝ち組負け組の二極化が進むそうだし、恋愛の面でもそういう流れがきているということなんじゃないかなあ。誰かとてつもなく頭のいい政治家が現れて、モテるやつがよりモテたほうが国家にとっても良いようなシステムを考案して、モテないやつ、いい年して童貞のやつなんかは、隅っこでひっそり生きていてもいいように、ルールが変わるかもしれませんね。責任をおわされず、迫害もされず、しかし存在していないように処理される。華やかでないほうのマトリックス、みたいな。