NFT に関する思考実験として、以下のようなことをしたとすると、何が起こるんだろう。
- 既存の NFT 画像の URL を同じ NFT マーケットプレイスに別のトークンとして新規登録する
- ↑を別のマーケットプレイスでやる
- 既存の NFT 画像の複製データを別の URL にアップロードして同じマーケットプレイスに別のトークンとして新規登録する
- ↑を別のマーケットプレイスでやる
- 既存の NFT 画像と見た目は同じだがデジタルデータとしては異なる画像(例えば画像のスクショを撮ってトリミング)を同じマーケットプレイスに別のトークンとして新規登録する
- ↑を別のマーケットプレイスでやる
すべて別のトークンなので「本物」のトークンより価値は下がるとは思うが、同じ画像の NFT を合法的に複数存在させることはできる?画像の無断複製に対する著作権侵害的な対応はなされるかもしれないが、それは NFT とは無関係に行われるもので、NFT それ自体が実効性のある形で↑のような「NFT の価値を貶めようとする試み」を妨げることはできないように思える。
「デジタルデータは簡単に複製できるがブロックチェーンに記録されたトークンは事実上書き換え不能なので真の所有者が証明できる」というのが NFT の特徴だとされているが、これは「トークンが紐づいたデジタルデータはひとつだけ」という前提を置いているように思える。別のトークンに紐づいている場合、ブロックチェーンをたどってどちらが先に記録されたトークンかを調べれば「真贋」がわかるはず、とはいえ、消費者がブロックチェーンを調べたりしないだろうし、マーケットプレイスの機能に依存するんじゃないだろうか(URL や URL が指し示すリソースのハッシュ値で重複登録を防ぐ、とか)。マーケットプレイスをまたいで行われる可能性はさらに低い気もする。「トークンが紐づいたこの画像こそがオリジナルだ、だからオリジナルの所有権を手に入れるためにトークンを買ってくれ」というのを別のトークンでやった場合、大多数の人たちは「どっちのトークンが本物か」を判別できないのではないか。どちらも「トークンが紐づいた同じ画像」ではあるので。
ややアナーキーな、ある意味本来の Web っぽさを感じさせそうなやり方で警鐘を鳴らすには、ある日突然大勢の Twitter ユーザーがアバター画像を岸田トークンとか進次郎トークンの画像に変えて「トークンがあろうがなかろうが画像は複製されるし本物のトークンかなんて誰も気にしない」的なことをパッと見でわからせるといいのではないか。ある種のデモというか。ふと荒川智則ってなんかあったなと思い出した。