@kyanny's blog

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ラストマイル

「アンナチュラル」「MIU404」のスタッフが作った映画。ドラマ二作品と同じ世界線での出来事を描く「シェアード・ユニバース・ムービー」だそうで。この二つだけでなく、塚原あゆ子・新井順子作品は感性に合って好みなので、映画も当然観た。

野木亜紀子脚本は社会派というか説教くさいところがあり、今作は大手通販会社と配送業の問題がテーマだった。通販会社は誰が見てもわかるくらい露骨に Amazon をモデルにしていて、日本支社の正社員たちのやり取りが、ものすごく「外資の日本法人スタッフ」っぽいなーと感じて結構感心してしまった。Amazon で働いたことはないので単なるイメージだけど、いかにもこういう人たちいそうだな、と。ディーン・フジオカが部下には弁明を許さずドライに詰めるくせに上司に詰められると「手柄は自分のおかげ、失態は部下のせい」とあからさまな保身に走るあたりなんかは、大企業で出世するのはこういうタイプなんだろうなと妙に説得力を感じた。

そのディーン・フジオカが、かつての部下を「弱かっただけだ」と評するシーンについて、これもステレオタイプな「勝ち組」の考え方として描かれていたのだと思うが、観終わって奥さんが「でもその通りだよね、あの会社は弱い社員じゃなくてディーン・フジオカみたいなやつをもっと育てればいいんだよ」と言っていて、つくづくモーレツ社員*1のメンタリティだなーと感心してしまった。

観ているうちに慣れてきたけど、満島ひかりはアクが強かった。顔つき*2などから受ける印象は陰があって危険な感じなのに、妙にあっけらかんとした明るいキャラクターを演じるのでギャップを感じて余計に怖い。岡田将生は今どきの若者って感じのキャラクターで世界観や舞台設定にあっていた。あと彼は声に特徴があって良い。過去ドラマのキャスト陣も、ちゃんとストーリー上で一定の意味がある形で登場していて、単なる話題作りのためのカメオ出演みたいになってはいなかった。「(それらのキャストを)無駄遣いしてないのは偉い」と奥さんも言ってた。

パンフレットは品切れで買えなかった。訳アリ品?難あり品?とかいう、折れ曲がってしまったのならあると言われたが、もう一度観てもいいなと思っているくらいなので、次の機会を狙いたい。

*1:奥さんは「壊れるまで働く」を地で行く人で、メガベンチャーで働いてたころは何度も身体を壊して入院した。もし身体が弱くなかったら、相当出世するか心も壊して廃人になるかのどちらかだったと思う

*2:すごくカマキリ顔だと思う