1-1 の引き分け。後半アディショナルタイムに追いつく劇的な展開だった。
勝ち点は得たものの、内容面では今シーズンワーストタイといっても過言ではなかった。特に前半 30 分くらいまでは、金沢の選手の動きは重く、宮崎の選手とのマッチアップでは簡単にボールを奪われ続けた。特定の選手に限らず、チーム全体、全員が弱かった。対する宮崎は、ボールコントロールの技術面では明らかに未熟だったにも関わらず、基本に忠実で丁寧なプレーを続けてボールを収め、金沢にゲームをコントロールさせなかった。
金沢もチャンスは多く作り、FW パトリックのヘディングが二度もポスト・バーに阻まれるなど、惜しいシーンもあった。連敗中の試合と比べればゴールの匂いは感じられるようになってきたが、かえって「決めきれない」ことが顕著になった感もある。宮崎も負けず劣らずチャンスメイクし、惜しいシーンもあったが、金沢 DF 陣がよく守った。
後半アディショナルタイムの同点弾は、FW 土信田が執念でねじ込んだ。土信田のすぐ後ろには DF 櫻井も詰めていて、土信田が合わなくても決めるチャンスがあった。二人とも途中出場で、結果を出すことへの強い気持ちが全面に表れたナイスプレーだった。クロスを上げた MF 加藤へのパスを出した FW 杉浦の捌きも地味だが光るプレーで、その杉浦も途中出場、加藤も、と、短い時間でも仕事をするベテランの強かさを感じた。
後半残り 20 分くらいから、宮崎のプレーが明らかに変わって、シンプルにボールを入れてポストプレーからチャンスメイクする形ではなく、金沢のようにディフェンスラインからビルドアップしてパスを繋いで崩していくようになった。勝てる試合と見込んで綺麗な勝ちを狙おうと欲が出たのだろうか。あれでゲームが落ち着き、金沢の交代選手がパワーを出して流れを引き戻すきっかけを与えてしまったように思う。もし宮崎が自分たちのストロングなスタイルを崩さず 90 分間戦っていたら、金沢はゴールをこじあけられなかったのでは、と思う。金沢にとってはラッキーだった。
今シーズンここまででワーストゲームは間違いなく八戸戦で、あの試合では金沢は自分たちのサッカーをまったくさせてもらえなかった。次点に同じ展開だった FC 大阪戦も来そうだが、今回の宮崎戦は、自分たちのスタイルでプレーできたにも関わらず崩しきれない・決めきれない、という点で、前二試合よりも深刻だと思う。対策でストロングを封じられたわけではないのに通用しない、というのであれば、スタイルそのものに疑問符がついてしまう。今からスタイル・戦術を変えたり、ましてや監督やコーチを変えたりしていては、とてもじゃないが今シーズン中の修正は間に合わないし、優勝・昇格など夢のまた夢となってしまう。天皇杯を挟んでリーグ戦は間隔が空くが、夏の中断より前のこの時点ですでに正念場を迎えたといえる。