@kyanny's blog

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重松清の「疾走(下)」を読んだ

上下巻のものは時間を空けすぎないほうがいいので立て続けに読んだ。間に新書を挟んだけど。

疾走 下 (角川文庫)

疾走 下 (角川文庫)

「ひととつながりたかった少年が、ひととつながれなかった物語」だった。とにかく暗くて、重かった。不幸が不幸を呼び、不幸な人は不幸を招き寄せてしまう、そんな暗鬱とした物語だった。最後の最後まで救いがなかった。救いはあったのだ、と感じる人もいるだろうが俺にはとてもそうは思えなかった。

もし、最後に救いを見出すことができたなら、つらい境遇におかれている人に薦めてみようとしたかもしれないが、これではとても薦められない。かえって気落ちさせてしまうだけだ。今まで読んだ重松清の本の中で、最もいやな話だった。目を背けたくなるようなことがこれでもかと描かれていた。平易な文章で表現もわかりやすいのですらすら読めるが、すらすら読むにはきつすぎる内容だった。