@kyanny's blog

My thoughts, my life. Views/opinions are my own.

今日で Quipper を退職して丸三年経った。

おれの人生、期待値的にはあと半分くらい残ってると思うけど、まさか自分が四十代前半にして、たかだか五年十年前の出来事を「昔はよかった」的な感傷とともに幾度も語るようになるとは思いもしなかった。

人生とか選択についてちゃんと意識を向けて考えるようになったのはクローン病発症後さらに何年か経ってから、二十代半ばからだと思うけど(遅い)、それ以降は原則として後悔のないような選択をしてきたつもりだし、大きな選択においてはかなりの高打率で後悔してない自負がある。

成功か?といわれると、金銭的にはおそらく大失敗で、ライブドアとカンムをストックオプションもらう前に辞めてるので大金を得るチャンスを二度も逸している。Quipper 買収時にストックオプションイベントはあったけど、家買えるレベルの金額ではなかった(ライブドアは、おれより後に入社した人が家買えるレベルの金額を手にしたと風の噂で聞いたことがある)。ただ人生の選択としてどうだったか?といわれればどちらも迷いなく、正解を選んだと自信を持っていえる。その後の成長、成功をみれば明らかだ。

けれども Quipper については、いまだに「本当にあのタイミングで辞めるのが正解だったのか?」と考えてしまう。残っていたところで数年後に無くなる既定路線は変わらなかった・変えられなかった(なんなら変えようともしなかった)だろうし、もっと心身ボロボロになってキャリアに致命傷を負っていたかもしれない。期待された役目は十分果たしたと思うし、恩返しも十分したと思う。そういう点では心残りはない。

ただ、なんやかんや紆余曲折はありつつも、会社のビジョン・ミッションに心の底から共感、いや心酔し、目の前のやるべきことを一生懸命やって、尊敬できる上司・経営者や頼りになる・頼りたいと思える同僚に囲まれて、ある意味夢の中にいるような時間を過ごせた機会は、もうおれの残りの人生でそういうのたぶん二度とないんだろうなーと思うと、ほとんど残りカスしかなかったとしても最後の一滴を絞り出し切るまでしがみついていてもよかったんじゃないか、と、そういう後悔が若干だがある。