2025 年の参院選、選挙戦中から参政党の勢いがすごいと報じられた。「日本人ファースト」をキャッチコピーに掲げる政治主張は海外メディアから極右と評されるほどの極端な保守で、国粋主義を通り越して排外主義的にも感じられる姿勢がナチスドイツのようで恐ろしいという声もネットで多く聞かれた。
結果がどうなるにせよ、このタイミングで是非とも観ておきたいと思ったのが「帰ってきたヒトラー」だ。あのヒトラーが現代のドイツにタイムスリップした設定で、そこでも政治活動をし始める。周囲の人々はモノマネ芸人だと信じきっていて笑っているが、徐々に支持を増やしていき…という感じの話。
ヒトラー役の役者の演技が見事だった。市井の人々との対話は、たしかエキストラではなくて本物の市民と話しているところを撮影したのではなかったかな。ドイツ国民のリアルな本音が垣間見えた。
これをみると、参政党支持者の熱狂ぶりを危険視する人たちの気持ちもわかる。正直いって、「そうは言っても、さすがにナチスみたいなことにはならないでしょう、日本人は太平洋戦争で全体主義的なものの恐ろしさを学んだのだから、同じ過ちは繰り返さないでしょう」という気持ちはあるが、しかし当時のドイツ国民だってそんなふうに楽観的に、「まさかこの我々が」と思っていただろう、あなどってはいけない、油断してはいけない、と気持ちを新たにした。
