サイボウズの社長が書いた本。なので、ポジショントークであることは考慮が必要だが、「会社とは何か」について本質的な指摘をしており、サラリーマンは一読の価値があると思う。
要約
- 「カイシャ」は実体も意思も無い
- 取締役がカイシャ(法人)の資産の使い道を決める権限を持つ
- 「代表取締役」の権限は特に強い
- 中小企業でも「社長(代表取締役)」に金持ちが多いのは、自分の給料を自分で決められるから
- 本来は会社は「株主のもの」だが、大企業になるほど株主が取締役を監視するのは難しい
- 日本は特に持ち株比率の少ない個人株主が多いので、株主全体が一枚岩になりにくい
- 団結して意見をまとめて代表を辞めさせる手間をかけるより、株を売ってしまった方が早い
- 大企業の代表取締役は、辞めさせられるリスクも低く、給料も増やせる、とても美味しい立場
- カイシャの従業員は実際には「経営者=(代表)取締役」のために働いている
- カイシャのブランドではなく、生身の人間である代表取締役が本当に信頼できる人なのかどうかを見極めなければいけない
- イケてない代表の下で偉くなる人もイケてない
- ダメなリーダーは自分の立場を脅かす有能な人を抜擢しない
- 代表取締役まで「あがれば」美味しいけど、そこまでは我慢レース
- 我慢レースに耐え、昇進して権限が強くなった頃には、もうとっくにあなたの全盛期は過ぎている
- カイシャが作られた時は、はっきりした目的、ビジョン、理念があった
- 創業者が居なくなり、理念を強く持てないサラリーマン代表取締役がカイシャを引き継ぐと、目先の売上利益(=自己保身)に走り、カイシャは魅力と存在意義を失う
- 永続させるべきはカイシャではなく事業
- カイシャで楽しく働くコツは、代表のビジョンと自分のビジョンを重ねること
- 自分のビジョンが会社の方針と合っていないと、仕事を楽しめない
- カイシャの方針を決めるのは代表なので、代表の方針と合ってるかが大事
- 例: 自分は将来、外国語を活かして海外でビジネスをしたい。でも、カイシャの代表はグローバル展開に興味が無い(ので、このカイシャで外国語を使ったり海外と関わる仕事をするのは難しい)
- 重ね合わせる作業はカイシャに入った後も延々と続く
- 代表の思いも自分の思いも変わっていくから
- 一人の人間として、好きな仕事をし、自分の心を満たす報酬を得る(お金だけでなく)、一度きりの人生を楽しむためにカイシャを選択する
- モチベーションが高い状態とは「やりたい」「やれる」「やるべき」の三条件が重なっている
- モチベーションが上がらない、仕事に納得できていない時は、三つのどれかが欠けているはず
- カイシャに違和感を覚えるようになったときにとりうる選択肢
- カイシャの夢に自分の夢を重ねる
- 自分のゆめに合うビジョンを持つカイシャに転職する
- 自分の夢を実現する場所(=カイシャ)を新しく作る
- どんな選択肢も、自分で選び、責任を取る覚悟が大事
- 他人のせいにしているうちは、主体性から生まれる楽しさを享受できない
- 自分の意思で人生を切り開くのは楽しい
- 埋没しないスキルを身に着ける
- 世の中ですでに一般的になってしまったスキルを偏差値的な発想で伸ばしてもユニークさは得られない
- 悪い例: 英語が得意でもないのに英語ばかり勉強する
- 「掛け算」の発想
- 例: クラウド * 農業
- スキルを掛け合わせるには、まず自分の強み・売りになるスキルを一つ見つけること
- 自分がモチベーション高く取り組めるものならなんでも良い
- 打算的に「ニーズ」を意識し過ぎない
- 一つのことに固執するよりも、自分の心の声に素直に耳を傾け、様々なことにチャレンジし、それらを掛け合わせてユニークな自分を作り上げていく
- 社会に出たら、自分の不得意なことをわざわざ仕事にしない。得意なことを活かして仕事をする
- 年功序列から成果主義を飛び越して市場主義へ
- 過去に出した成果ではなく、未来に対する期待値で評価される
- 従業員の数が多いカイシャは雇用を支える良い会社なのか
- 少子高齢化で労働人口不足に陥る今後の日本では、あるカイシャが多く雇いすぎることは、他のカイシャや社会全体にとって迷惑になる可能性がある
- カイシャが生み出す価値が同じであれば、従業員数は少ない方が(効率が)良い
- 「すごい雇用」と「すごくない雇用」がある
- 優秀な人を採用するのが「すごくない雇用」
- 優秀な人を雇うのは低リスクでマネジメントも楽
- 誰でもできることなので、すごくない
- 「すごい雇用」とは
- 他のカイシャでは採用されない人や、制限が多い人、採用するのに勇気がいる人、などを採用すること
- こういう人たちを活かすには高いマネジメント力が必要
- 少子高齢化社会では、「すごい雇用」で様々な人材を活かせるカイシャが生き残る
- 人間は、人工知能が思いつけない、新しい「やりたい」を見つけ出す必要がある
感想
この本が良いのは、「だからサラリーマンはダメだ起業しろ」みたいな乱暴な結論に至らず、充実したサラリーマン人生を送るためにはどうすれば良いか?ということを説いていることだ。世の中のサラリーマンの大多数は起業したりせず一生を終えるのだから、サラリーマンとしての生き方について論じる方が現実的で建設的だ。
一章と二章は痛烈だが示唆に富む内容で、サラリーマンは一読の価値があると思う(大事なことなので二度書いた)。
それなりに長年勤めた会社を辞めんとする身としては、グサグサと突き刺さる内容で心が揺さぶられた。「ビジョンを重ねる」、本当に大事だと思う。
小さい会社でも「社長」が金持ちな理由を齢四十にして初めて知って、自分がどれほど世間知らずだったか痛感した。
後半はややポジショントークっぽさが増した印象がある。「すごい雇用」のくだりなどは、一理あるものの、いささか浮世離れし過ぎでは、と感じた。
特にグサッときたフレーズ
そして 、昇進して権限が強くなったころには 、もうとっくにあなたの全盛期は過ぎている 。あなたの考えは時代遅れになり 、若者たちの足を引っ張ることになる 。
我慢レ ースに耐え 、権限が強くなったころには 、もうあなたの全盛期は過ぎている 。
夢を強く持てない代表は 、夢を熱く語ることができないので 、そこに集まってくる社員は 、夢に共感できないまま何となく仕事を続ける
だから 、 「このカイシャは違うな 」と思ったら 、早く辞めたほうがいいと思います 。
カイシャは楽しいですかと聞かれて 、即座に 「楽しい 」と答えて 、その理由をスラスラと言えるのなら 、その人は心から仕事を楽しめているのでしょう
しかし 、その人が 「カイシャは楽しむところじゃない 」とか 、もしくは自分の楽しさのことを話さず 、カイシャの業績や戦略のことばかりを話していたら 、カイシャを楽しめているかどうか怪しいと感じます 。そして 、我慢レ ースを走らされているのではないかと推測します 。
例えば 、技術が好きなエンジニアがカイシャに新卒で入ってきたとします 。入社当初は 、自分自身でプログラミングをして 、 「やりたい 」仕事ができていました 。ところが 、彼はだんだんと管理職としての仕事を任されるようになり 、気がつけば毎日エクセルのシ ートを開いて 、プロジェクト管理や原価計算をするのが中心になってしまいました 。年功序列の大企業ではよくあることですね 。 「やりたい 」仕事でないのであれば 、モチベ ーションは下がります 。
自分の意思によって 、何かを選択し 、その結果を受け入れる覚悟をする
「やるべき 」仕事の中から 「やりたい 」と 「やれる 」の交点を探して 、選択する 。そして 、その選択は 、自分の意思によって決めたのだと覚悟する 。
英語が得意でもないのに英語ばかり勉強するとか
実際 、社会に出てみると気づきますが 、自分の不得意なことをわざわざ仕事にしたりしません 。それぞれの 「得意 」を生かして仕事をするのです 。
少子高齢化が進む日本は 、今後 、慢性的な人手不足になることが予想されています 。つまり 、あるカイシャが 「たくさん雇用する 」ことは 、他の様々なカイシャの採用活動の妨げとなります 。よかれと思ってたくさんの人を雇用しているにもかかわらず 、他のカイシャにとって 、また社会全体にとっては迷惑行為になる可能性もあるのです 。カイシャが生み出す価値が同じであれば 、従業員数は少ない方が 、周囲にとってはありがたいとも言えます 。
誰でも経験があるかと思いますが 、人の意見に耳を傾けられなくなったとき 、成長は止まります 。
「楽しい 」とは 、楽園のような職場という意味ではありません 。食べ放題 、飲み放題 、遊び放題 。ハンモックに揺られてゲ ーム三昧 。毎日そんな楽園に行きたいですか ?私には無理です 。楽園はときどき行くから楽しめます 。
日本の大企業は 、世界の中小企業に過ぎません 。
今からが人生の勝負です 。どうぞ残りの人生を最大限 、楽しんでいきましょう 。
ハイライト
多すぎるけど、 Kindle Unlimited で読んだので返却してしまうとハイライトも参照できなくなりそうな気がするので、全部転載する。
自分たちの人生をこの 「会社というモンスタ ー 」に捧げ 、毎日ストレスを抱え 、不満に耐え続けている 。
企業の規模にかかわらず 、世の中の代表取締役と呼ばれる人たちにお金持ちが多いのは 、自分の給料を自分で決められるからです 。
カイシャとカイシャ員の関係も同様です 。カイシャには意思がありません 。どんなに頑張って働いても 、カイシャが何か返してくれることなどありえないのです 。返してくれるとしたら経営者たちです
私たちは 、生きていないものではなく 、生きているものに注目し 、信頼できるかどうかを見極めていかなければなりません
私たちは誰のために働いているのでしょうか 。いくら 「カイシャのため 」と言っても 、実際にはそのトップにいる 「経営者たちのため 」に働いている
つまり 、よく見ておかないといけないのは 、カイシャというモンスタ ーのブランドやイメ ージではなく 、生身の人間である代表取締役が本当に信頼できる人なのかどうか 。そこを間違えると 、知らぬ間に搾取されていたり 、仕事が全然楽しくなかったりしてしまうわけです 。
イケてない代表の下で偉くなっている人は 、たいていイケてない
次の代表としてイケてる人を選んでくれるといいのですが 、基本的にはそうならない 。イケてない人は 、自分にとって都合のいい人を選び 、自分の利益を脅かす人を選ばないからです 。
そして 、昇進して権限が強くなったころには 、もうとっくにあなたの全盛期は過ぎている 。あなたの考えは時代遅れになり 、若者たちの足を引っ張ることになる 。
ただ 、今のカイシャが楽しくないと思っているのであれば 、自分がこうした我慢レ ースに入り込んでいないかどうか 、少し距離を置いて考え直してみてもいいかもしれません 。
我慢レ ースに耐え 、権限が強くなったころには 、もうあなたの全盛期は過ぎている 。
これらの日本的な雇用形態のことを 「メンバ ーシップ型雇用 」と呼びます
ちなみに 、米国では定年制度は年齢差別に当たるため 、憲法違反として認められていません
だから 、楽しく働きたいと思ったら 、どんな人が代表なのかをよく見ておいたほうがいい 。この代表のためだったら働いてやってもいいなという気持ちが持てないと 、我慢ばかりのつらい時間を過ごすことになってしまう 。
わざわざ団結して意見をまとめて代表を辞めさせる活動に時間を割くくらいなら 、サクッと株式を売ってお別れする方が早い 。ですから 、大企業の代表取締役は 、辞めさせられるリスクも低いし 、給料も増やせるし 、とても美味しい立場にいます 。
だから 、カイシャが作られたときは 、元々はっきりした目的があったはずです 。
創業者がカイシャを作って 、人を集めていったときには 、おそらく魅力的な目的が 、ビジョンが 、理念があったのだろうと思います 。それに共感した人が 「私もそれに協力したい 」と集まってくる 。
この状態のときは 、理念がまだはっきりしており 、楽しく仕事をしやすい状態にあります 。自分の活動が 、社会のどのニ ーズに応えているかの実感を得られるからです 。
企業理念を重視しないということは 、集まる理由が弱いということです 。集まる理由がないところで働いて 、楽しいはずがありません 。自分は何のために働くのか 。企業理念は 、働く一人ひとりにとって 、モチベ ーションの根幹なのです 。
そして 、創業者がいなくなり 、理念を強く持てない代表が 、その組織と口座を引き継ぐことになります 。
カイシャと事業は別物です 。継続すべきは顧客に必要な事業であって 、カイシャではありません 。
例えば 、 L i n u xという O Sを作っているリ ーナス ・ト ーバルズという人 。彼を中心にして構成された開発チ ームは 、無料でソフトウェアを提供していて 、
実際は redhat や suse のような営利企業に雇われてたりするけどな。
規模でカイシャを選ぶと 「楽しく働く 」から遠ざかる
売上が大きいカイシャを選びがちなのは 、世間から 「すごいカイシャに入ったね 」と言ってもらえるから 。そういうわかりやすい基準に頼りたいという自分がいるのかもしれません 。
VP とか CTO とか取締役とか、世間から「すごい」と言われたいから肩書が欲しい、という自分がいるのだということ。
楽しく働けるカイシャかどうかを判断する際には 、利益よりも 、どこにどれくらい分配しているのか 、というところを見たほうがいい 。
「どちらかというと従業員の給料のほうが目的で 、利益はあくまでもカス 。そのほうが少なくとも働く人には幸せですよ 」
私たちの答えはシンプルです 。 「サイボウズというカイシャを永続させる必要はない 。私たちの理念を実現するためにベストを尽くしたい 」ということです 。
国に任せるよりも 、私たちの方がうまく社会を動かす自信がある 。
ずいぶんだな。さすがに傲慢すぎやしないか?
夢を強く持てない代表は 、夢を熱く語ることができないので 、そこに集まってくる社員は 、夢に共感できないまま何となく仕事を続ける
代表のビジョンと自分のビジョンとの関係を考えよう
楽しく働くために最初に紹介したいコツは 、代表のビジョンと自分のビジョンを重ねることです 。
例えば 、あなたが 「ゆくゆくは外国語を使って海外でこんなビジネスをしたい 」というビジョンを持っているとします 。でも 、カイシャの代表が 「正直 、グロ ーバル展開には興味がない 」と考えていたら 、そのカイシャで仕事を楽しむことは難しくなります
自分が持っている夢を叶えられる場所なのかどうか 、これを確認することが大事です
このカイシャの代表が何をやりたがっていて 、自分が何をやりたがっていて 、そこに交点はあるのか 、ということです 。
そこで初めて 、このカイシャの代表のことを意識しました 。そして 、自分の夢をカイシャのビジョンとうまく重ね合わせることが難しいことに気づき 、起業しました
起業した後 、半年間は給料を一円ももらいませんでしたが 、我慢レ ースから降りて 、気持ち良く働ける場所を得ました
この重ね合わせる作業は 、カイシャに入った後も延々と続きます 。そのカイシャの代表の思いも 、自分の思いも 、年月とともに変わっていきます 。その思いの部分を重ね合わせられているか 。
自分が活躍している実感も減っていくだろう 。それは仕事を楽しめないことにつながる 。
。例えば 「気持ち良く働ける仲間 」も 、大きな報酬です 。一緒に働く仲間たちのことを信頼でき 、一生付き合いたい友人になるのなら 、どれだけ毎日を幸せに過ごせることでしょう
逆に 、お金はたくさんもらえるけれど 、すごくストレスフルなところに毎日出向いて行かなければいけないとなったら 、日々のストレスに耐えることに加えて 、ストレスを解消するために時間とお金を使わなければいけません
給料の金額が大きくても 、その職場だけで通用するスキルしか身につかないのであれば 、給料以外の報酬は少ない 、ということになります 。
我慢レ ースを耐え抜かなければいけないカイシャは 、給料の額面だけは大きいように見えるけれど 、じつは他の報酬は少ないのです 。
だから 、 「このカイシャは違うな 」と思ったら 、早く辞めたほうがいいと思います 。
カイシャは楽しいですかと聞かれて 、即座に 「楽しい 」と答えて 、その理由をスラスラと言えるのなら 、その人は心から仕事を楽しめているのでしょう
しかし 、その人が 「カイシャは楽しむところじゃない 」とか 、もしくは自分の楽しさのことを話さず 、カイシャの業績や戦略のことばかりを話していたら 、カイシャを楽しめているかどうか怪しいと感じます 。そして 、我慢レ ースを走らされているのではないかと推測します 。
2019年の採用では、完全にこれだったな…
自分の人生ではなく 、カイシャというモンスタ ーの小間使いとしての人生を歩んでいるように感じるのです 。実体のないモンスタ ーに自分の人生を投影し 、本当に自分が生きたい人生から目を背け 、思考を停止したまま過ごしている気がします
一人の人間として 、好きな仕事ができている 。自分の心を満たすための報酬を得ている 。一度きりの人生を思い切り楽しむために 、カイシャを選択し 、そして実際に楽しめているかどうか 。
モチベ ーションが高い状態とは 、 「やりたい 」 「やれる 」 「やるべき 」という三つの条件が重なっている 、
例えば 、技術が好きなエンジニアがカイシャに新卒で入ってきたとします 。入社当初は 、自分自身でプログラミングをして 、 「やりたい 」仕事ができていました 。ところが 、彼はだんだんと管理職としての仕事を任されるようになり 、気がつけば毎日エクセルのシ ートを開いて 、プロジェクト管理や原価計算をするのが中心になってしまいました 。年功序列の大企業ではよくあることですね 。 「やりたい 」仕事でないのであれば 、モチベ ーションは下がります 。
人は 「やれる 」と思っていないことを楽しめるようにはできていません 。この仕事は自分に向いていない 、と思いながら働いても楽しめないし 、結果も出にくい 。結果が出ないと 、やはり楽しめないという悪循環に陥ってしまいます 。逆に 、自分の得意分野だと思っていて 、自分のスキル向上によって乗り越えられると信じているときは 、モチベ ーション高く取り組むことができます
「やるべき 」の難しいところは 、周囲からのどの期待にどれだけ応えるか 、という選択を迫られることです 。
自分の意思によって 、何かを選択し 、その結果を受け入れる覚悟をする
て 、 「やるべき 」仕事の中から 「やりたい 」と 「やれる 」の交点を探して 、選択する 。そして 、その選択は 、自分の意思によって決めたのだと覚悟する 。
仕事を楽しくやり続けている人は 、世の中に無限に存在する 「やるべき 」仕事の中から 、覚悟を持って選択している人だと思います 。
こういうとき 、なぜ自分が納得していないのか 、深く考えてみることが大切です 。モチベ ーションが上がっていないということは 、 「やりたい 」 「やれる 」 「やるべき 」の三つのうち 、どれかが欠けているはずです 。
楽しく働きたいのであれば 、常に仕事を整理する 、考える 。こうした思考の習慣をつけることで 、改善できるはずです 。
カイシャの夢が見えないときに考えるべき 、三つの選択肢
カイシャが掲げるビジョンに共感し 、自分が活躍できる場所があると思って入社してみた 。けれども 、しだいに自分の理想とのギャップを感じるようになったり 、あるいはカイシャのビジョンにだんだん共感できなくなったりしていくこともあるでしょう 。カイシャで働いていると 、よく起きることです 。
ビジョンは壮大だけれども 、実際に現場でやっていることは目先の目標を追うことばかりで 、自分が思っていた理想とはずいぶん違うこともある 。
カイシャに違和感を覚えるようになったときこそ 、試練の瞬間です 。あなたがこの後も楽しく働けるかどうか 、試されるときです 。
「カイシャの夢に自分の夢を重ねる 」というのは 、言い換えると 「カイシャというモンスタ ーを動かせる子飼いの代理人 =経営者と夢を重ねる 」ということになります 。カイシャには実体がありませんから 、カイシャの代理人をしている経営者の夢と重ねることになります 。その人を信頼し 、未来も自分の夢を重ねていけると信じるのであれば 、現状を受け入れて残ればよいと思います 。
転職までいかなくても 、 「異動 」という手段で 、カイシャの夢と自分の夢を重ねる方法もあります 。異動すれば 、上司も仕事も変わります 。上司によって期待される 「やるべき 」も違うし 、仕事が変われば 「やりたい 」の合致度も変わってきます
上の方にいくと上司=社長で選択肢無いけどな
これだけ情報があふれている社会において 、何も言わなくても誰かがわかってくれるということは期待できません 。情報を発信することは 、共感する人を呼んでくるための基本戦略です
埋没する人がやりがちなのは 、世の中ですでに一般的になってしまった指標ばかりを追いかけ 、偏差値的発想でスキルを伸ばそうとすることです
英語が得意でもないのに英語ばかり勉強するとか
いかにユニ ークさを出すか 。一つの鍵は 「掛け算 」の発想です 。
事業の立ち上げを推進していましたが、自由に複業できるサイボウズの環境に魅力を感じ、転職してきました。
最初にイノベ ーションを経済学用語として使い始めたのはヨ ーゼフ ・シュンペ ータ ーだと言われています 。彼が初期に書いた著作では 、イノベ ーションではなくドイツ語の 「 n e u e K o m b i n a t i o n 」という言葉が使われていました 。日本語に直訳すると 「新結合 」となります 。 「これとこれを結合すると 、今までになかった新しい価値になる 」
イノベ ーションとは 、新結合である 。先ほどの 「掛け算 」と似ていると思いませんか 。
スキルを掛け合わせるには 、自分の強み 、売りになるものをまずは一つ 、見つけなければなりません 。自分がモチベ ーション高く取り組めるものであれば 、なんでもよいと思います 。
彼らが 「ニ ーズ 」をどれくらい意識していたかはわかりません 。ただ 、直接お話しした印象で申し上げると 、計算高くニ ーズを判断したというよりも 、人のつながりや自分の心の声に素直に応えていった結果のように感じます 。ニ ーズにとらわれると 、かえって常識に囚われてしまい 、掛け合わせに意外性が出てこなくなるのかもしれません 。
石の上にも三年 」と歯を食いしばって一つのことを頑張っても 、残念ながら昔ほど評価されない時代が来ています 。そうであれば 、一つのことに固執するよりも 、自分の心の声に素直に耳を傾け 、様々なことにチャレンジし 、それらを掛け合わせ 、ユニ ークな自分を作り上げていくほうがいい
実際 、社会に出てみると気づきますが 、自分の不得意なことをわざわざ仕事にしたりしません 。それぞれの 「得意 」を生かして仕事をするのです 。
そして 、もっとチ ームワ ークについて教えるべきだと思います 。日本の教育は基本的に個人戦を強いています 。どのテストも一人で受けます 。横の人と協力してテストの解答を作ったりしません 。多くの仲間と役割分担をしたり 、自分の得意なところに集中したりといったチ ームワ ークの機会は限られています 。
ところが 、カイシャに入った途端 、チ ーム戦をすることになります 。営業 、開発 、人事など 、様々な職種の人たちが連携しながら仕事を進めます 。それまで個人戦しかしてこなかった日本人は 、じつは多様な個性を生かしたチ ームワ ークが苦手です 。
そして何より 、自分らしく生きることは楽しい 。自分のやりたいことを 、相手のやってほしいことと重ね合わせることができれば 、相手も助かるし 、自分も役に立ててうれしい 。
逆に 、フルタイムで働く人しか採用できないカイシャは 、若者や高齢者 、育児や介護で制限のある人たちの力を借りることができず 、少子高齢化に伴う労働人口の減少とともに 、事業を縮小せざるを得ないでしょう 。
私は A社で課長をしていました 」と言ったところで 、市場にとってどれくらいの価値になるでしょうか 。 A社での価値は 、所詮 A社限定のものに過ぎません 。
年功序列から成果主義を飛び越して市場主義へ
しかし 、私はこれからの社会では 、成果主義が主流にはならないのではないかと考えています 。
つまり 、過去に出した成果ではなく 、未来に対する期待値で年俸が決められるのです 。
う。あなたのカイシャの代表は、そのことに気づいていますでしょうか。
従業員の数が多いことを自慢する経営者がよくいらっしゃいます 。 「うちは 、これだけ多くの雇用を作り出している 。日本の雇用を支えている 」と言って 、とても誇らしげです 。しかし 、本当に誇らしいことなのでしょうか 。
少子高齢化が進む日本は 、今後 、慢性的な人手不足になることが予想されています 。つまり 、あるカイシャが 「たくさん雇用する 」ことは 、他の様々なカイシャの採用活動の妨げとなります 。よかれと思ってたくさんの人を雇用しているにもかかわらず 、他のカイシャにとって 、また社会全体にとっては迷惑行為になる可能性もあるのです 。カイシャが生み出す価値が同じであれば 、従業員数は少ない方が 、周囲にとってはありがたいとも言えます 。
なるほど、この発想はなかった。本は読んでみるものだね。
これからはスキルを掛け合わせる時代です 。副業を禁じるような会社に勤めることは 、スキルを磨く上で大きなリスクになります 。
さらに一つ予想をしておきます 。今まで 「雇用を増やしている 」ことを社会貢献だとアピ ールしてきたカイシャが 、これからは手のひらを返したように雇用を減らしていく 、という予想です 。
雇用には 「すごい雇用 」と 「すごくない雇用 」がある
優秀な人を採用するのが 、 「すごくない雇用 」 。
えっ?と意外に思う一文。
これは誰でもできることです 。ここでいう 「優秀 」とは 、どのカイシャでも通用する高いスキルがあるとか 、たくさん稼いだ実績があるとか 、健康でフルタイムで働いてもらえるとか 、賢くて何をやらせてもすぐ上達しそうとか 、どこのカイシャでも欲しがりそうな人のことを指します 。
こういう人を雇用するのは 、ある意味でリスクが小さい 。マネジメントが楽だし 、放っておいてもそれなりに活躍してくれそう 。
では 、 「すごい雇用 」とは何でしょうか ?それは 、 「他のカイシャでは採用されない人 」とか 、 「制限が多い人 」とか 、 「採用するのに勇気がいる人 」を採用することです 。
制限のある人たちを生かすには 、高いマネジメント力が必要です 。
社会全体のことを考えてそういう人を活かす雇用に価値があるという論はわかるが、自社の利益を追求するならわざわざマネジメント負荷が高い人を雇うメリット薄いよね。
社会という観点から雇用を考えるのであれば 、雇用の中身を見ていくべき
まあ企業は社会の公器とはいうけども。
今までは 、経営者にとって使いやすい 「優秀 」な人だけが優遇され 、制限のある人たちは放置されてきました 。女性や高齢者 、障害者などを無理に活用しないほうが有利に戦えたのでしょう 。
少子高齢化による人手不足など社会的な状況が変わってきたことで 、 「すごくない雇用 」をしているカイシャは 、むしろ厳しい状況に追い込まれつつあります 。
ちょっと違うと思う。二極化していて、ごく一部の会社だけが優秀な人を雇える。
フラスコ理論は 、多様な個性を生かしてカイシャを経営するためのメソッドです 。
その仕掛けとしてのハブ ・オフィス 。オフィスにこそカイシャのお金をしっかり使って 、クリエイティブな空間を作り 、化学反応が起き続ける場所を作っていきたいと考えています 。
アドラ ー心理学とサイボウズの共通点とは ?
例えば 、サイボウズでは 「 『みんな 』という言葉を使ってはいけない 」というル ールがあります 。 「みんな 」と一括りにすると 、多様な個性の存在を見落としてしまうからです 。 『嫌われる勇気 』にも 、同様のことが書かれています 。
今日中に必ず意見をまとめてください 」と言われても 、品質の高いアイデアをすぐ出せるとは限りません 。
ところが 、日本の多くのカイシャでは 、 「人間は頑張ればなんとかなる 」という価値観が根強く 、無理をすればどんな困難も乗り越えられると考えがちです 。ですから 、無理をしないと達成できない目標を設定するのが大好きです 。
GMOスピリットベンチャー宣言「我々には解決できる課題しか発生しない」の真逆だな。
化学反応によって新しいアイデアを生み出してトライしようとするわけですから 、既存の活動による目標は下げざるを得ません 。足してほしいのは 、気合や根性による目標数字のストレッチではなく 、今までになかった新しいアイデアとチャレンジです 。
サイボウズでは 、このやり方が定着してきました 。新事業であるクラウドサ ービスがさらに面白い展開になるように 、様々なアイデアを出してトライしていくことが最優先です 。すると 、既存のパッケ ージ製品の事業目標は下げざるを得ません 。無理をせず 、限られたリソ ースの中から達成可能な数字を現場感覚で設定します 。
も、現場に心の余裕を持ってもらい、化学反応を起こすことにモチベーションを高めてもらうほうが効率的だと
量の経営
社会の確実性が下がって 、先に何が起こるか読みにくくなっているのですから 、実験的アプロ ーチに切り替えたほうがいい 。
誰でも経験があるかと思いますが 、人の意見に耳を傾けられなくなったとき 、成長は止まります 。
その通り。
自分にとって都合の悪い意見 、厳しい意見と正面から向き合うとき 、自分の思考が活性化され 、自分自身の考え方に磨きがかかり 、飛躍的な成長を遂げることがあります 。
そして 、学びの早さは 、視点の高さへとつながります 。
様々な人から学べる人は 、視点が高くなり 、それまで思いつかなかったアイデアが湧いてきます 。
「楽しい 」とは 、楽園のような職場という意味ではありません 。食べ放題 、飲み放題 、遊び放題 。ハンモックに揺られてゲ ーム三昧 。毎日そんな楽園に行きたいですか ?私には無理です 。楽園はときどき行くから楽しめます 。
カイシャが職場として提供できる楽しさとは 、仲間と同じビジョンに向かう一体感 、個性を生かした貢献 、そしてお互いの感謝 。活動が顧客の喜びを生むとともに 、その先にある社会貢献への広がり 。それらがカイシャという仕組みを生かして得られる 「楽しさ 」だと思います 。
日本の大企業は 、世界の中小企業に過ぎません 。
日本企業は残念ながら四〇位まで見ても一社も入っていません 。
私たち人間は 、人工知能が思いつかないような 、新しい 「やりたい 」ことを見つけ出す必要があるのです 。自分の心の欲求に従って 、やりたいことに邁進できる人が必要なのです 。
今からが人生の勝負です 。どうぞ残りの人生を最大限 、楽しんでいきましょう 。
残念ながら 、既得権益を持った大企業の変化は遅いと言わざるを得ません 。大企業が変わってくれることを 、首を長くして待ち続けるのは 、今の時代にあまりにもったいない
この問題は数十年にわたって議論されており 、国連から何度も改善勧告を受けているにもかかわらず 、国会議員は立法を怠ってきました 。
そうなのか、知らなかった。おれが小学生くらいの頃から夫婦別姓の議論てあったよな。
会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。
- 作者:青野 慶久
- 発売日: 2018/03/09
- メディア: Kindle版