先の非モテ論議において、俺は十分真剣に面白がって参加していたのだが、そのわりにはちゃんと学んでいないよなあ、これではいけない、と思ったからというわけではないが、本屋で「サブカルチャー」の棚に平積みにされていて表紙の絵が可愛かったので買ってきた。

- 作者: 内藤誼人
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/02/22
- メディア: 単行本
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- 作者: 内藤誼人
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2005/07/20
- メディア: 単行本
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「しのごのいわず、とりあえず俺の言うとおりにしてみろ!」系の本。著者は心理学者だそうで、口語体のくだけた文体と可愛いイラストで親しみやすいが、巻末の参考文献リストを見ると(素人目には)ちゃんと「まとも」な論文にあたって書かれた本なのかな、と信憑性はやや増す。
しかし、この著者のほかの本についてのアマゾンのレビューに、心理学を持ち出すまでもなく、常識的に当たり前のことなのに、心理学の裏づけを持ち出すことでさも画期的なテクニックであるかのように思わせている
なんて批評があったが、そういわれれば確かに・・・という点は多い。多数のアドバイス、テクニック指南のうちの大半は、先の非モテ論議でも「脱非モテを目指すならばこうすべきである」として挙げられたものとかぶる。随所に現れる、どこぞの国の大学教授の実験結果のグラフやら統計の結果の数字やらも、「数字だけ見せられても、ハイそうですかとその統計を信じる気にはなれねーよ」とうがった見方をしたくもなる。なんとなく胡散臭いんだよなあ、という気持ちを払拭しきれない。
ただ、復習の意味を込めたものを含めても、俺がこの二冊を読んで「これは!」と思って折込を入れたページは29箇所ある。使うアテのあるなしとは関係なく、「こんなテクニックを知ってる俺ってモテそう」という勘違いもはなはだしい自信を持つには、多少は貢献しそうだ。著者も、「常に俺って最高!と思い込め」
と書いていることだし。
そんなわけで、「恋愛に技術論を持ち込むとは何事か!けしからん!恋愛とはもっと純粋なものであるべきだ!」とお考えの反技術主義な非モテ諸兄におかれましては、実践を想定せず、純粋に知識見聞を広める意味で、こういう本に目を通してみるのも案外面白いかと思いますので気が向いたらどうぞ。どちらも約200ページ、読むのが遅い俺でも二時間で一冊読めたので、立ち読みでも十分読めるでしょう。
著者は、「とにかくやってみなきゃダメだよ」といっているので、実践する気がないなら読む意味はないんだけどね・・・。
あと、副作用的な効能をあげると、「恋愛術」なんてド直球のタイトルを冠する本をレジに持っていくと、さすがに「ああ、俺ってすごいモテないことに悩んでそうに見えるんだろうなあ」と自分の置かれた状況を客観視せざるを得ないので、現状を直視し真摯に受け止めるいい機会になります。なので買ってみようかなという方は、「俺は別にモテたくてこの本買うんじゃないですよ、ただはてなで非モテ話するときのネタにちょうどよさそうだから買うんですよ」なんてそぶりは見せちゃダメだ。そんなよこしまなことは一瞬でも考えちゃダメだ。俺みたいに帰ってきてから「ああ俺はなんとさもしい男なのだろう」と自己嫌悪に陥ることになります。