「ペアプログラミング」を読んだ流れで読み始めた。「古典をたしなむのも悪くなかろう」という気持ちで読み始めたが、古典どころか現在進行形の内容ばかりだった。
いきなり具体的な話からはじまり、思想的な話は後ろの方でやっとでてくる構成は意外だった。
実践のための本なのだから実践的な、行動に繋がる内容に重きをおくのは当然だしそれを先に持ってくるのには好感を持ったが、思想的背景抜きにいきなりプラクティスやプリンシプルを延々と紹介されると説教くさく感じてしまい、途中で一度投げ出しそうになった。
しかし後半に入るにつれて面白くなっていって、「なぜ私は XP をやるのか」という個人的な動機などの話に至りすべてが繋がる、というまるで映画を観たような読後感だった。
XP についてなんとなく知っているつもりになっていただけだったので、いろいろ気づきもあった。最も印象に残ったのは、「XP は TDD を必須とはしていない」ということ。他にも、 XP の「文脈」で語られる手法を、その成り立ちから正確に把握できていなかったものがたくさんあるのだなと内省するきっかけになった。
全体も各章も短めで、かつて悪名高かった訳もその片鱗すら感じさせないほど読みやすく、さらっと読めた。しかしこの本はさらっと読んで済ますわけにはいかなそうな、何度か読み返すことになりそうな、そんな気がしている。
- 作者: Kent Beck,Cynthia Andres
- 出版社/メーカー: オーム社
- 発売日: 2015/07/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る