日本の中高生向け学習サービスの開発をしてたとき、新機能のリリース時期が年度の切り替わりタイミングの数ヶ月に事実上固定されることがプロジェクトを進める上で難しい要素だった。
年度が変わると生徒の学年も変わるし、学校のクラスも変わる。学校向けの営業活動も、原則として新年度から一年単位で利用してもらう想定で商談をまとめる。なので、ユーザーもステークホルダーも、大きな変化は年度末・年度始めにだけあることを望む。
これはいわゆるアジャイルな開発スタイルと相性が悪い。小さく作って継続的に改善し続け頻繁にリリース、を地でいくと、しょっちゅう何かしら変わり続けるのでユーザは戸惑い、営業やカスタマーサポートの知識が追いつかなくて説明が不正確になり、トラブルにつながる。
既存システムの開発をしていた部隊と初めて合同プロジェクトをやり始めたとき、大きなリリースは年に一回と聞いて、こいつら正気か、と呆れたものだったが、それから数年の経験を経て、あれは一つの正解だったんだな、と理解できた。満点ではないが、ステークホルダーの要件をある程度は満たしていた。
いまでももちろん高頻度にリリースしたほうが良いと思っているけど、それがあらゆる場面で最善とは限らないことを知る、貴重な経験だった。