@kyanny's blog

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GitHub に入社して 3 年経った

2024-02-09 で GitHub に入社して丸 3 年経った。入社日は 2021-02-09 だった。

(これは 2024-03-06 に書いている)

3 年目はあまり良い一年ではなかった。年末年始は US テック業界にレイオフの嵐が吹き荒れ、GitHub でも 2 月にレイオフが行われた。比較的仲がよかったエンジニアも対象になり、数少ない「つて」がなくなった。春以降は同僚が育児休暇に入り(これはとても良いことだ)、仕事量が増えてオーバーワーク気味になった。勤怠の記録を振り返ると実稼働時間(残業)が顕著に増えたわけではないが、週末も翌週の仕事のことが頭から離れなかったり(まあそれは昔から割とそうだが)、仕事中も息つく暇なく次から次へと問い合わせをこなす感じで余裕がなかった。秋には状況が改善したが、知らずのうちにストレスを溜め込んでいたようで、職場に関連して思慮の浅さからくる失敗をしてしまい、人生で二度目の「反省文」というやつを書いた。

忙しかったぶん、こなすタスクの量と経験値は増えた。ただ、引いた視点で見ると、もともとルーチンワーク感の強い業務内容だったのが経験を積んで慣れてきたことによって余計に「毎日が同じことの繰り返し」という感じになってきており、端的にいうとやや飽きてきた。ただ、これまでの仕事でもだいたい 3 年で飽きてきたので、自分的には驚きはない。むしろこの仕事内容で 3 年経ってもまだこの程度しか飽きを感じてないのは上出来だと思う。クローズアップしてみると似たようなタスクでも細かい点に違いと学びがあり、そういう部分に面白さを見出せているのだろう。

これまでどの会社でどの仕事をするときも、まず 3 年はやってみようと思っていたので(例外もあったが)、ここまでは想定通り。でも今年は、この先のキャリアのことを考え始めたい。

今の仕事には概ね満足している。事業・サービスは文句なしに「良いものだ」と言えるし、待遇も申し分ない。金沢からフルリモートで働けて、return to office の可能性もほぼない(日本オフィスは閉鎖された)。誰かの問題解決をするサポートという仕事も自分の性分に合っていると思う(地味で目立たない裏方に徹することを物足りなく感じることもあるけど)。リスク要因はレイオフ(仮に日本語サポートが廃止されることになった場合の解雇リスク)と親会社への吸収合併・転籍(などに伴って起こりうる return to office などの不利益)くらい。総じて「良い仕事」にありつけている、と思う。

ただ、自分のキャリアを振り返ったとき、ハイライトはやはり Quipper 時代の経験で、Findy でさまざまな企業から興味を持ってもらえているのもそこなんだろうなと思っている。としたとき、Quipper を辞めてからすでに 4 年近く経っていて、果たしてその経験はまだ賞味期限内なんだろうか?このまま錆びついて、二度と活かせないのでは?それはちょっと勿体無いかもな、と思っている自分がいる、驚くことに。ソフトウェア開発なりエンジニア組織マネジメントなりを自ら先頭に立ってまたバリバリやりたい、というよりは、自分の経験、学び、失敗などを忘れてしまう前に、どこかそれが役に立つ場所・誰かそれが助けになる人のために活かしてみたい、と思うようになった。

当時得たものの中で最も貴重なのは、部門長として事業や経営に近いところを経験したことで上がった自分の視座だと思う。おかげで大企業の末端で働きながらも、会社のさまざまなレイヤーで行われる意思決定、それに基づいて起こる変化にただ脊髄反射的に反発するのではなく、それは事業や組織にとってどういう利益をもたらす(ことを意図している)のか?を自ら考え、咀嚼して理解できるようになった。ただ、日々目の前のタスクをこなすことだけに集中して過ごしていると、いずれ視座が下がっていってしまい、いつしか変化をただ変化であるというだけで忌避したがるような自分になってしまうんじゃないかと、それが非常に残念で、失いたくない、維持したい、なんなら高めてすらいきたいと思う。

まあ、手短にいうと「キャリアに停滞感があるので打破したい」ということ。というわけで、今年はいくつかの行動を起こしていくことにする。

まず、今の役割のまま仕事の幅を広げる、つまりプロモーション(昇進)を目指す。同じサポートチームの同僚(全世界で二百人くらいいるが)は結構昇進していて、おれより後に入社した人ですでにおれより上位ランクの肩書きになっている人もいる。いまが Support Engineer 3 という、いわゆる普通の「一人前」で、一つ上は Senior Support Engineer になる。なかには昇進に興味がないと公言している人もいるけど、ある程度の期間やったら Senior くらいまではなって、その後マネージャーに転向するなり、他の役割に社内転職するパターンが多いようだ。アメリカの会社なので自ら手を挙げてアピールしないと昇進の目はなさそう。少なくとも意思表示しないことには始まらないので、上司に「昇進するためには何をすればいいか、何が足りないか」という相談をするところから始めよう。

そして、これまで散々否定的な態度をとってきたのにアレだけど、アドバイザー、いわゆる技術顧問のような形で他の会社を手伝う道というのも模索していたい。あくまでパートタイム、副業として、主軸は本業に置きながらも、過去の経験と「もし今やり直すなら」を、今それで困っている人たちに伝えることでサポートする。スタートアップの急成長期から大企業による買収を経て買収後の統合プロセス(Post Merger Integration)におけるさまざまな組織課題と向き合って開発組織を立て直した経験は、数多くの企業で求められる類のものではないけど、ピンポイントで困っているというニーズにはうまくはまるんじゃないかと思う。ちょうどこのタイミングで外の人と話す機会もあり(それは別稿で)、おかげで自分の中でも整理がついた。

そんなわけで、職務経歴書を再掲する。これは Quipper を辞めることを決めたとき、転職用に書いた。その後の経歴もアップデートしているが、それまでに比べて内容が薄いのが悲しい。

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