2018年4月から務めた Quipper Limited の Vice President of Engineering を、2020年3月末日付で退任*1した。
なぜやめるのか
一言でいうと、 VPoE として担っていたミッションを完遂したため。
二年前に VPoE 就任を打診されたとき、自分が所属していた開発組織の課題は明白だった。人が辞める。定着しない。人が増えない(むしろ減る)ので現場の負荷が上がる。ムードも悪くなる。お世辞にもおすすめできる職場とはいえなかった。
そこで、「二年で開発組織を立て直す」をミッションに掲げ、上司と約束した。
結果、二年間でエンジニア組織は 25 名から 54 名へと倍増。かつ、ミスマッチを防ぐ採用方針を徹底したことで離職者を低く抑えることに成功。開発組織を安定化させた。
2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | |
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エンジニアの人数 | 24 | 25 | 35 | 56 |
退職したエンジニアの人数(前年比) | 9 | 6 | 3 |
採用人数の多さは自分の手柄ではない。採用活動に携わった多くの関係者、とりわけ採用担当人事と選考担当のエンジニアの多大な尽力のおかげである。だが、退職者数の少なさは、自分自身で「事業マッチ・カルチャーフィット」を重視する採用方針を打ち立て、最終面接で見極めも行ったことが一定の成果を挙げたと思っている。
これ以外にも、(CTO や海外担当 VPoE の補佐として) Quipper プラットフォームの未来構想を考え、実行していくなど、三つのミッションに取り組んできた。それらについても二年間で一定の道筋をつけることができたので、公約*2通り二年でやめることにした。
最後の大きな仕事は「自分がいない前提で、2020年度の開発組織体制をデザインすること」だった。「4月からは自分がいないこと」を伏せたまま人事や組織の話をするのは骨が折れたが、「自分をクビにする」という野望を達成できたので、報われたとは思う。
なお、三つのミッションは以下の通り。原文ママ。具体的な内容は明記されておらず、これらのテーマに対して何をすればよいか?を自分で考えるところからが仕事、という感じだった。
- Hiring / Organization (Sapuri) - 70%
- Future of platform - 15%
- Tech roadmap - 15%
もちろん単独で取り組んだわけではなく、上司である CTO を筆頭に多くの人たちの協力あっての賜物である。特に CTO には毎週みっちりと壁打ち相手になってもらって、思考的にも精神的にも大きな助けになった。
綺麗な理由ばかりでもない。このブログの読者諸氏には改めていうまでもないことだが、エンジニア組織マネジメントに徹する仕事は自分にとって、とてもつらいことだった。身も心も削った、という表現も決して大げさではないと思う。実際、奇病に罹って入院もしたし、精神的に沈むことも多かった。興味がある人は無題の記事か731を含む記事を拾い読みすると良い(が、おすすめはしない)。
これからどうするのか
転職する(予定)。職務経歴書
Quipper に残るべきか迷ったが、去ることにした。
言える理由も言えない理由も色々あるが、言える範囲だと
- 「グローバル EdTech スタートアップ」っぽさが薄れ「リクルートの子会社」っぽさが濃くなってきたこと
- 会社としても自分個人としても、創業者との関わりが薄れてきてしまったこと
- VPoE として取り組んだミッションを達成し、やりきった感(と同時に燃え尽きた感)があること
など、まぁ潮時だな......という感じ。
ここでは多くは語るまい。辞める頃には勤続七周年を迎えているはずなので、書けなかった六周年の分も含め「Quipper に入社して丸7年が経った」を書くときに思いの丈をぶつけたい。次に何をやるのかも、その頃には決まっているはず(でないと困る)。