@kyanny's blog

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2024 JリーグYBCルヴァンカップ 1st ラウンド 1回戦 ⚽️ヴァンラーレ八戸🆚ツエーゲン金沢 #zweigen

Lemino という配信サイトで録画をみた。結果を知らずに観ることに成功した。

J3 最下位の金沢と暫定だが一つ上の 19 位の八戸の対戦。どちらもリーグ戦で勝ち星なし、勝ち点もなし。事実上の J 逆頂上決戦となった。

結果は延長戦でも 0-0 で決着がつかず、PK を一本止めた八戸の勝利。金沢は惜しくも一回戦敗退となった。リーグ戦で下位に沈んでいるチーム同士の対戦ということで、お互いプレーの精度に難があり、それによってお互いに救われたが故の 0-0 というスコアだった。

前半は八戸のペース、後半は金沢のペースだった。どちらもがっつり引いて守る時間が長く、少ないチャンスを決めきれなかった。決定的なシーンで双方の GK がファインセーブを見せた。PK も八戸の GK の気迫勝ちだったといえる。

この試合は金沢も入りからかなり当たりを強くいっていて、チャンスにアピールしたいフレッシュな若手中心だったのもあるだろうが、勢いという点では今シーズンの試合の中で一番あった。ただ、技術面や連携面では正直言って普段より下手で、リーグ戦で惨敗中のスタメンはあれでもチーム内ではちゃんと上手いほうなんだな、という発見があった。

スタメンはほぼ総入れ替え、今季まだベンチ入りすらしてない選手も何人かいたが、一軍相当の選手が控えを固める布陣。

GK 白井はここでもベンチ入りせず。これは驚きだった。怪我など使いたくても使えない事情があるのか、それとも使わないという意図があるのか。チームとして世代交代を考える年齢だし、若手の起用は歓迎するが、徹底していると感じた。「新生」をスローガンに掲げるからには変化を打ち出していく必要があり、昨年までのチームの顔だった選手はその点で使いづらい、という事情もあるのだろうか。同じことは DF 庄司にもいえる。

その庄司のポジションでもある CB はキャプテン畑尾が不在。これも目を引いた。若手や控えにチャンスを与えつつ一軍を休ませるというのはひとつあるかもしれないが、それなら山本ではなく庄司をベンチ入りさせてもおかしくないし、畑尾ではなく山本を外してもよかったはず。畑尾は相当調子が悪くて休ませる必要があったと考えるのが自然か。

好材料はいくつかあった。まず、初お披露目のペク・インファンは光るものを感じた。速さと巧さがあり、一対一にも強そう、少なくともどんどん仕掛けていく積極性がみられた。石原と似たタイプという印象。ただそこが悩ましい点で、石原が出られないときに穴を埋めるポテンシャルがあるとポジティブにも考えられるし、石原とポジションやスタイルがかぶるので石原がいる限りスタメンは難しいかもとネガティブにも考えられる。右サイドもやれたら併用の可能性はあるか。

高塩も後半は悪くなかった。前半は豊田との距離感などあまりうまく立ち回れていなかった印象だが、後半遅い時間になっても前線からアグレッシブにプレスをかけていたし、上背は大きくないものの空中戦で身体を張るシーンが何度かあった。金沢の選手はおしなべて大人しいタイプが多い印象だが、その中では珍しい「俺が俺が」というタイプのようにみえて、元気があってよい。積極的にシュートを狙っていく姿勢などに表れている。FOOTBALL TODAY KANAZAWA でも注目選手といわれていたし、今後に期待したい。

櫻井のスタミナも目を引いた。前後半の間は縦への突破を仕掛けてボールを取られるシーンもあり精彩を欠く印象だったが、延長戦に入っても勢いとスピードが衰えず右サイドを深くえぐってクロスを上げていた。八戸の運動量も落ちてきていた時間だったのでなおのこと目立った。

そして、惜しくも決定的なヘディングを防がれた杉浦。リーグ戦で二試合連続得点を決めているが、この試合でも好調さをアピールした。後半に杉浦が入ってからの金沢は明らかに攻撃のリズムが良くなった。杉浦がゴール前でポストプレーをしてチャンスメークしたシーンもあったし、いまの金沢において間違いなくキープレイヤーであり、中心となる選手だ。

悪く見えたのは毛利。球際に弱く、何度もボールを奪われていたし、ルーズボールへの判断が悪いシーンが多かった。ボールにいくのか味方に任せるのかというシーンで、見送ったら味方も動かず、詰めてきた相手に取られる、の繰り返し。パスの精度も低く、短く繋ぐのか大きく前へ蹴るのかも結果論だが身を結ばないプレーが多かった。

上田は PK 止めて欲しかったし、長峰は決めて欲しかったが、まあしょうがない。二人とも 120 分フル出場のあとの PK 戦で疲労もあっただろうし、まだ若い。この経験が糧になることを期待したい。延長で?大谷を裏のスペースに走らせる仕掛けを何度かやっていたがうまくいってなかったのは、パスの精度の問題なのかタイミングの問題なのかポジショニングの問題なのかわからないが、今後の攻撃のオプションとしては頼りない印象だった。

金沢サポーターの応援はホームの八戸に負けず劣らずよく聞こえた。試合開始時点の気温1度、途中で雪も降ってきた寒い中(もちろん屋根はない)、120 分プラス PK 戦を現地で応援し続けたサポーターには頭が下がる。

ハーフタイムのスタジアム放送がよかった。暖かいスタグルを宣伝しつつ、「寒いので体調不良を感じたら遠慮なくスタッフにお声がけを、お客様も周りの人の様子がおかしかったらお知らせください」と、ホスピタリティがあった。

声でいうと、今回も八戸の選手のほうが声が出ていたような印象。そして延長戦に入るタイミングで、八戸の監督は選手を集めて口頭で指示を出すシーンが映ったが、金沢は監督がスタッフと話していて選手とも選手同士もコミュニケーションをとっている様子はうかがえなかった。これは単にカメラが向けられたタイミングの問題かなとは思うが、それでもやはり全体的にコミュニケーションが課題のように思う。

無念の敗退で、残念ながら鹿島アントラーズをゴーゴーカレースタジアムに呼ぶ夢はついえた。まあでも、選手たちはよく戦ったし、今シーズン初めて失点 0 で抑えたなど、内容は悪くなかった。勝って勢いをつけることはできなかったが、連敗は止められたわけで、次のリーグ戦でもう一踏ん張りする気合は入ったことだろう。