Amazon Kindle の Prime Reading に入ってて見かけたので読んでみた本。大人、特に孤独な中年男性向けの絵本。と書くといかがわしい感じがするが、表紙の絵柄からわかるようにいかがわしい内容ではなく、さびしさをやさしく励ます内容。
おれは愛する家族もいるし仕事にも恵まれていて、この絵本の主人公ほど孤独ではないが、「何者でもない」、いや「結局何者でもなかった」という感覚は依然としてある。まだ人生は半分くらい残っていると思うけど、ここまでで世の中に何かを残せるような存在にはなれなかったし、今後もなれないだろう。そういう諦念は年を追うごとに少しずつ強まってきている。もはや焦燥感はないのが、助かるやら悲しいやら。
「ぼくにはなにもない」からこそ、
夏の夕立とか 冬の焚火とか
春の青草とか 秋の夜空とか
そんなすべてが
涙が出るほど きれいにみえる。
のだ、それは幸せの一つの形であり、なんでもないものの美しさに気付けることこそ、「持っている人」が持っていないものなのだ、という主張は、優しさの中に強さを感じさせた。