@kyanny's blog

印刷は人間に対し市場を作り出し、国民軍を創設する方法も教えたのであった - マーシャル・マクルーハン「グーデンベルグの銀河系」

童貞は肉体の童貞性を気に病むがD.T.は精神の童貞性を楽しむ

おたくとオタクの差について調べてみたら、とても興味深いページを発見した。


 id:kanose:20041213#dt、id:kanose:20041213#folder2を拝読して改めて思ったのだが、みうらじゅん、伊集院光、くりぃむしちゅ〜の上田など、童貞をネタにする人達の言動はかなり問題があると思う。

 文系男子にとって、社会との軋轢や女性とのコミュニケーションは、表現におけるモチベーションやモチーフとして常に重要な問題である。しかしかつて童貞であったが、既に童貞でなく、かつ彼らのように一定の成功をおさめながら「モテ」を諦めた人たちが「童貞」について語る様は、童貞ノスタルジーでしかない。

 それは今現在、童貞コンプレックスを持つ人や、それ以上に女性に対しての負担がとてつもなく大きい。

これはD.T.の定義上、仕方ない部分ではあると思う。「肉体の童貞は失ったが精神の童貞は保っている、保とうとしている人」がD.T.だ。そして童貞が一番気にしてることが「肉体の童貞」なのだから、D.T.がどれだけ精神面で童貞に近づいても、肉体の経験の有無によって童貞ははっきりと「あちら側」「こちら側」を意識してしまう。

童貞が一番気にしてるのは肉体の童貞だ、とかいたが、これは「肉体の童貞さえ捨てられればいいと思ってる」わけではない。童貞が何ゆえ童貞であることを気にし、劣等感を持つのか。童貞は何にコンプレックスを抱いているのか。それは、肉体が性交を経験していないということだ。挿入してないだけで馬鹿にされる風潮に理不尽さを感じ取るから、そこにコンプレックスを抱く。

だが、コンプレックスは往々にして克服が難しいものだ。コンプレックスというのは結局自分自身の価値観が凝り固まってしまったがゆえに感じるものだから、自分を呪縛から解き放たなければ永遠に逃れられない。「挿入してないだけで馬鹿にされる風潮」というのも、実は童貞自身が勝手に感じている幻想だ。はっきりいって世間はそこまで童貞に関心を抱いていない。だが童貞はコンプレックスを感じているから過敏になりすぎてしまう。

また、童貞が童貞であることには理由があると考える。積極的な「童貞を捨てない理由」でも、消極的な「童貞を捨てられない理由」でもいいが、とにかく理由があるからセックスをしない、できない、なので童貞なのだ。その理由は人それぞれだが、何らかの「童貞である理由」があるということは、肉体の童貞さえ捨てられればいいとは思っていないということだ。さっさと肉体の経験を済ませてしまって楽になりたい、という気持ちよりも、理由があるから安易に童貞を捨てられない、という気持ちのほうが優る。

D.T.にはこの肉体の童貞に対するコンプレックスが一切ない。だから、「童貞のときに悩んだこと」を面白おかしくネタにできる。コンプレックスがないので余裕ができ、余裕があるから道化を演じられる。

自戒を込めて、童貞にとって最も見習うべきはD.T.のもつ余裕であるといいたい。D.T.が童貞ネタを面白おかしく語る様子をみると、「安全圏からずるいぞ 人の気も知らないで」と愚痴りたくもなるが、そこを笑って流せるようになれれば、人間として成長できるのではないだろうか。彼らは童貞の最大の理解者であると同時に、裏切り者でもあるのだから。