@kyanny's blog

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ファイナル・プラン

「96時間」でのターミネーター顔負けの冷徹な超人ぶりが強烈な印象だったリーアム・ニーソン主演作。奥さんがリーアム・ニーソンものを好きなのでだいたい観ている。

リーアム・ニーソンものの魅力というのは、理不尽なまでの強さで敵を追い詰めていくカタルシスと、さえない中年・壮年男が運命に翻弄される疲れ切った姿だ。この一見相反するような要素の合間で揺れ動くアンバランスを楽しむのがリーアム・ニーソンものの醍醐味といえる。

その点、本作は中途半端だった。愛する人のピンチは緊迫感に欠けるし敵の追い詰め方は容赦しすぎで甘い。リーアムはそれなりに苦悩したりするが憔悴度合いは低く、アクションシーンも地味。

邦題がまたひどい。原題は「Honest Thief」で、これは直球でひねりがないけど内容を鑑みると悪くない。「ファイナル・プラン」は意味がわからない。「速攻強盗」が引退前に最後の金庫破りを計画する話ならこの題もわかるが、そういう話ではない。「正直者の銀行強盗」とかそういう邦題のほうがよかった。

悪者の FBI 捜査官のうち、悪事を率先するのは白人男性のほうで、嫌々加担させられるのはおそらくヒスパニックかラテン系男性のほうだったが、これ逆だったら苦情が殺到して炎上しちゃうから白人を悪者にしたのかね、なんて奥さんが言ってて、そういう忖度もとい配慮があっての配役なんだろうな、と思った。さらに、そういう扱いを見せつけられ続け、社会的に抑圧されているという自意識を植え付けられている、裕福でも幸福でもない白人男性たちのこと、ジョーカー、トランプ、などに想いを馳せた。

ファイナル・プラン

ファイナル・プラン

  • リーアム・ニーソン
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