@kyanny's blog

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胃カメラ

金沢に来てから初めて胃カメラを飲んだ。二年ぶりか三年ぶりか。

三月に受けた健康診断で胃のバリウム検査を受けるつもりが、IBD 患者にバリウムはおすすめしないとのことで現地で中止になり、かわりにいつもの病院で胃カメラを受けてくださいという話に。それがきっかけだったか、どっちが先だったか忘れたが、今の病院でも胃カメラはまだだったので一度見ておきましょうということに。

鎮静剤は使ってくださいと予約時から何度も念を押し、いざ本番。今回はあっけにとられるくらいよく効いた。武蔵野日赤でも鎮静剤を入れて一度か二度は受けたはずで(検査後に別室のベッドの上で一時間寝て休む、を二度はやった)、しかしそのときは一部始終を一応ちゃんと覚えており、喉の辛さも鎮静無しに比べたらはるかにマシだったもののしっかり苦しみは味わった。

それが今回、検査用の薬(液体)を二種類飲み、喉の麻酔ゼリーを注射器で喉に注いで10秒待ってから飲み込み、ベッドに横になってベルトを外し(ジーンズのボタンも外した)、検査用のマスクをつけながら注射担当の医師が来るのを待ち、医師が来て検査用のマウスピースを口に咥え、例によって左手はラインが取りにくい話を検査技師が医師に説明し、「でも左腕このへんとれそうですけどね、正中は確かに…」などと話し声が聞こえ、三分の一(だけ麻酔を入れる、という意味か)という声が聞こえて針が刺さる痛み、医師が針を抜き、技師の「いまから薬効いてきますからね」、すこしぼーっとしてきたな、と思った次の瞬間、気づいたらカーレンで隔離された安静スペースの椅子に座っていた。一瞬何が起こったかよくわからず、まだ検査前かと思いかけたが、カーテンの裏にかけてあった時計は 10:45 くらいをさしており、「11:15 まで安静」と書かれたボードが隣にあり、検査は終わっていつのまにかここへ移動してきたことを悟った。そしてまたすぐうとうと→目が覚めると 11:15 ごろで、看護師がやってきて様子を聞かれ、眠ろうと思えばまだ眠れそうな気分ではあったものの立ち上がることはでき(少しだけふらついた)、後回しにした採血のためその場を後にした。

車椅子に乗って来たらしいが、何も覚えていない。うっすらと、ゲップを我慢してとか、もう少しで終わりますよという声を聞いたような気もするが、情景、視覚情報は何一つ覚えていない。これまでの胃カメラはカメラが映すリアルタイム映像すらモニターとの位置関係によっては見ながら検査を受けていたくらいなので、まるで違う体験だった。ここまではっきり鎮静剤が効いたのは大腸の手術のとき以来だった。今になって軽く喉の痛みを感じ、それが本当に胃カメラを飲んだ唯一の証拠といえるが、苦しみの時間は一秒たりとも経験しなかった。これは楽だ、楽すぎる。これなら胃カメラ何回受けたって構わない。猛烈な嘔吐反射で苦しみ、検査の数日前から憂鬱で不機嫌になっていた日々が馬鹿馬鹿しくなる。

検査結果について説明を受けた。少し逆流性食道炎の跡があり、なんとかヘルニア(前も言われた)もあり、胃から食道を見上げる形の写真でカメラの管の横に空間が写っていた。このせいで胃液が逆流しやすい、が、普段自覚症状がなければ等に対処不要、何か症状が出てくるようなら内服で対処。肝心のクローン病については、一言も触れられず。潰瘍も怪しい部分も皆無だったということだろう。これも初回の胃カメラ以来ずっと同じ。