関数電卓がすごい (ハヤカワ新書)でおすすめされていたモデルの一つ。「最安値は千円を切ることもある」とあったが Amazon ではそこまで安くなく、ではヨドバシはどうかとチェックしたら税込 1010 円。これは即決でいい値段と判断して勢いで買った。
「関数電卓はすごい」の感想は後日書くが(まだ読み終わってないので)、そこまで感化されたわけではない。iPhone を横にすれば関数電卓機能が使えることも知っている。この本にも書いてある。しかし実際には使ってみると、やはりちょっと起動までが遠いし、詳しい機能のマニュアルもないのでとっつきづらい。すでに関数電卓に慣れている人が、実機がない場合の代用品として使うためのもの、という印象を受けた。
「関数電卓はすごい」は関数電卓の本というよりは計算リテラシーの本で、ちょっとした計算を使いこなすと良いことありますよ、と説いている。手元にすぐ使える計算機があると、それだけ計算するハードルが低くなる。こういう小さな最適化はバカにならないことは実体験とも合致するので、机上に一台あってもいいのでは、と思った。ミニマルだが説明書がついていて各機能の使い方がわかる(PDF 版もある)点も、慣れる助けになると思った。
関数電卓を買ったのは大学生以来か。理学部物理学科だったので入学時に買う必要があって指定のものを買った気がする。高校生のときではなかったはず。進級で理系コースに進んだが、関数電卓を授業で使った記憶がない。どのメーカーのものを買ったのかも覚えていない。5000円以上した気がする。ボタンがたくさんあって、当然説明書など読まず、意味不明だった。そもそも授業にほとんど出なかったので関数電卓をどう使うかもわからなかった。大学中退後もたまに部屋の中で発見して箱から出して少し眺めるだけで、一度もまともに使った覚えがない。それ以来、関数電卓にはうっすらとした恐怖心すら抱いていた。それを克服、払拭したいという気持ちがこの本と最安の関数電卓を買う後押しになったのかもしれない。
実物のキーを叩いてみると、なかなかに安っぽい。まあ千円だしな。あと、iPhone の関数電卓でも感じたが、自分の短期記憶が弱すぎてメモリー機能ですら使いこなすのがちょっと難しいと感じる。どの変数にどの値が入っているか、少なくともどんな変数が存在するのか、などの情報が視覚的に見えないと存在を忘れる。その点この関数電卓はメモリーに値が入っていると M と表示されるので親切だ。と書いておいて、iPhone のほうは M なんて表示されないもんな、と思って確認したら、メモリーに値が入っていると mr(メモリー呼び出し)ボタンの色が変わる仕様だった。こんな初歩的なことすら、機能を理解してないと見過ごしてしまう。おれの機械リテラシーと計算リテラシーはそのくらい低い。
ここ数年でガジェット類への関心が低くなり、欲しいものといえば高価なカメラとレンズくらいで、買い物欲を満たせなくなっていた。結果、買い物欲そのものが減退してきた。無駄遣いしないのは良いことだし、三十代で投資や貯蓄などを真面目に考えはじめてお金に対する価値観が変わったのもある。とはいえやっぱりたまにはおもちゃを買って遊びたい、買いたくなるような、遊びたくなるようなおもちゃがなかった。千円の関数電卓はちょうどいいおもちゃになりそうだ。