ryokucha さんという方のレビューを読んでいてハッとした。特に最後の、時給換算という考え方。サンクコストについてはわかっているつもりだったけど、そんな気がしてただけで全然リアルに感じてなかった。
・悪書とは自分にとって相性の良くない本 悪書に費やす時間を時給換算して読み続けるべきかを判断するとよい(サンクコスト) 買ってしまったから消化しないとという焦燥感に打ち勝つすべを身につけよう 時給2000円だとしたら、5時間読書に費やすと1万円の浪費になるよという考え方
おれは本を読むペースがとても遅く、小説を50ページ読むのに一時間くらいかかっていると思う。350ページくらいの小説を一冊読み切るのに最低でも三夜はかかるから、肌感としてはだいたいそんなもんだと思う。一冊7〜8時間くらい。技術書とか専門書になるとさらにペースが落ちて、毎晩集中した読書を何時間かできたとしても一週間はかかる。小説の倍かかるとして、一冊15時間くらい。
これに時給換算を当てはめると、たとえば新しく読み始めた専門書を一時間読んで、なんか面白くないなあ、読むのしんどいなあ、と感じたとして、読み終えるにはあと14時間かかる。この本を3000円で買ったとして、今の自分の稼ぎから時給を計算すると、「悪書」を14時間読むのにかかる金額で同じ本を20冊くらい買える。それなら類書を20冊買って一時間ずつ読んだほうが良書に巡り会える確率も増えるし、そのジャンルの重要なポイントが何かを掴みやすいし、飽きなくてつらくなさそう。実際は20冊も買う必要はなくて、5冊くらいで済むだろうから4分の1の出費で済むので財布にも優しい。
まあこれは詭弁で、その一冊を読み終えようが読み終えまいが2冊目以降は買わないのが実際の出費額は一番少なくてお財布に優しいのは自明で、単に合わない本は読むのをやめて他のことに時間を使えばいいだけだけど、でも「時給換算して大損する本はそれ以上読むな」という考え方はとても面白かった。これたぶんこの本に書いてあることで、買ってないのにレビューに書いてあるまとめだけ読んで真理を知れたので一番お得だと思う。本は自分で読まずに他の人に読んでもらって要点だけ教えてもらう、というブルジョワの勉強法はありそうで、本の要約サービスというものも存在する。アマゾンのレビューを読んですでに読んだ人の意見・感想から本の要点を拾うというのは貧乏人のための代替案といえそう。